活動報告

 

日本国際交流センター(JCIE)ならびに東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)は、11月29日にアジア健康長寿イノベーション賞の授賞式を開催しました。

 

アジア健康長寿イノベーション賞」(Healthy Aging Prize for Asian Innovation、以下HAPI)は、日本政府によるアジア健康構想の一環として、ERIAおよびJCIE が2020年に創設した表彰事業で、健康長寿の達成、高齢者ケアの向上に資する取り組みをアジア各国から募集し表彰するものです。テクノロジー&イノベーション、コミュニティ、自立支援の3分野で、高齢化による様々な課題の解決となる革新的なプログラム、サービス、製品、政策を募集・表彰することにより、アジア地域内で優れた知見を共有、その実際の応用を後押し、この地域の共通課題である急速な高齢化に共に対応していくことを目的としています。大賞・準大賞の授与のほか、第2回公募では、コロナ禍が高齢者に与えている影響の大きさに鑑み、新型コロナ対応特別賞を設けています。

 

新型コロナウイルスの影響により、今回の授賞式は第1回および第2回公募の日本国内を活動拠点とする団体を対象として行われました。海外を拠点とする団体については、各国の日本国大使館を通じて授与が行われます。

 

各年の受賞団体一覧については以下のリンクよりをご覧ください

 

 

 

冒頭、国際選考委員を代表して挨拶した武見敬三参議院議員(JCIEシニアフェロー)は、第1回および第2回公募を通じ多方面の事業領域からの応募が集まり、高齢社会の課題解決に向けてのイノベーションが広がっていることを挙げ、これらの取り組みを積極的にアジアに発信したいと述べられました。また、来年度は新型コロナウイルスも収束し、日本および海外団体が一堂に会しての授賞式が開催されることへの期待を示しました。

 

続いて、西村英俊ERIA事務総長(ビデオメッセージ)は、賞に応募した団体が感染症に屈することなく、長期的な視点をもって課題に取り組まれていることに敬意を表しました。大賞・準大賞に選ばれた取り組みの多くは、高齢者に限らず地域の住民が恩恵を得ることができるサービスを展開しており、多世代の互助や地域全体の開発は超高齢社会に適応する英知に富んだアイデアであると評価を述べ、受賞団体を称えました。

 

受賞団体と代表者の挨拶は以下の通りです。

 

2021年度受賞者挨拶 日本語の事例概要はこちらをご覧ください

テクノロジー&イノベーション部門大賞

「CARES4WOUNDS」(英文概要)

テツユウ・ヘルスケア・ホールディングス(シンガポール)

CARES4WOUNDSのAIのシステムやプレナーシングを活かしてより少ない時間で質の高いケアの提供が可能になった。海外で培った医療イノベーションやノウハウを、日本に還元するような形で、コミュニティケアに活かしていきたい。

(武藤真祐 医療法人鉄祐会理事長、テツユウ・ヘルスケア・ホールディングス共同創設者)

 

コミュニティ部門大賞

「多様な機関との連携を通じた包括的ケアモデルSTRONGプログラムの他自治体への普及」(英文概要)

パトゥムタニ県ブイントー市、タップマ―市、タマサート大学、神奈川県湯河原町、野毛坂グローカル(タイ)

日本のモデルを参考にした住民中心の高齢者ケアの取り組み・包括的ケアプログラムをSTRONGプログラムとしてタイのブイントー市と協働実施してきたが、さらにプログラムを実施する自治体が増えた。タイの高齢者ケアの充実をきっかけとして、日・タイ両国で幸せになる人が少しでも増えるように活動を続けていきたい。

(木村修太 神奈川県湯河原町地域政策課係長)

 

自立支援部門大賞

「タイ東北部における高齢者の健康増進」(英文概要)

羽立工業株式会社、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター、株式会社コサイコンサルタンツ(タイ/日本)

タイ現地の公衆衛生省と連携して日本のノウハウを共有し、介護予防政策を行うことで、タイで介護予防という概念が根付くことが期待できる。病院で患者を待つのではなく、地域に出て活動することで高齢者が元気になることを現地スタッフも実感し、活動を拡大させようと考えている。

(原田利枝 羽立工業株式会社ウェルネス事業市場開発営業部次長)

 

新型コロナ対応特別賞

「アフターコロナ時代の新たな都市型介護予防モデル:コレクティブインパクトによるオンライン『通いの場』導入の試み」(英文概要)

松戸プロジェクト・コンソーシアム(日本)

受賞した本事業はIT機器を通じたオンラインによる介護予防の取り組みで、都市部における介護予防で、官学民それぞれの強みを活かして連携することが重要である。事業は厚生労働省の健康長寿に関する大規模実証事業にも採択され、世界保健機関(WHO)からも共同研究の申し入れがありプロジェクトに広がりができている。

(近藤克則 千葉大学予防医学センター教授)

 

テクノロジー&イノベーション部門準大賞

「みんなでつくるバリアフリーマップWheeLog!」(英文概要)

一般社団法人WheeLog(日本)

受賞したバリアフリーマップのアプリは、車椅子ユーザーにとどまらず健常者も大きな役割を果たしている。高齢者や障害者を含むアプリユーザーの生活に役立たせ、地域で起こすムーブメントが、アジア諸国でも活動を広げ、アジア地域全体で「車いすになっても諦めない世界」を作りたい。

(織田友里子 一般社団法人Wheelog代表理事)

 

自立支援部門準大賞

「認知症の行動障害を改善し、その人らしく生きることを可能にする大誠会スタイルのケア」(英文概要)

医療法人大誠会グループ(日本)

”大誠会スタイルケア”は認知症患者に身体拘束をせず、個性や尊厳を守ってきた。専門医、看護師、薬剤師、理学療法士等の多職種が一丸となって取り組んでいることが20年来にわたる継続の要因である。また、医療だけにとどまらず福祉の分野にも進出し、医療・介護・福祉を一体化させ、子どもから高齢者、障害のある人が安心して暮らせるまちづくりを目指している。

(田中志子 医療法人大誠会グループ理事長)

 

2020年度受賞者挨拶

第1回受賞者について、2020年7月31日にオンラインで受賞発表式を開催しましたが、以下2団体に対し対面での授与を行いました。

 

自立支援部門大賞

「病院と自治体との協働による脳卒中再発予防のためのセルフマネジメント支援の取り組み」(英文概要)

長野県駒ケ根市 (日本)

本大賞事例は、医療機関と自治体が協働し、患者本人が脳卒中の再発予防のための「セルフマネジメント」を実施できるよう支援を行うよう取り組んでいる。駒ヶ根市は脳卒中による死亡が、全国平均や長野県平均に比べて高かったという課題に対して、発症予防を患者任せにするのではなく、病院の看護師や多職種で患者のモチベーションを挙げるための支援を作り、脳卒中発症後の再発率を半分以下にすることができた。全国共通とはいかないかもしれないが、ぜひ参考にしてもらいたい。

(村岡紳介 昭和以南総合病院院長)

 

コミュニティ部門準大賞

「団地を一つの大きな家族に」(英文概要)

株式会社 ぐるんとびー (日本)

団地内の一室に小規模多機能を導入し、地域住民が家族のように高齢者を支え、また、多世代間交流が地域の活性化につながっている。IT化の流れもあるが、住民活動やコミュニティの中からのボトムアップで解決できる問題の可能性を開拓しながら、よりよいコミュニティを作りたい。また、人間の両価性や地域での賛否の声がある中で、賞により評価されると、自分たちの頑張りが報われた形となりモチベーションとなる。

(菅原健介 株式会社ぐるんとびー代表取締役)

 

当日の式次第はこちらをご覧ください。

 


 

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