活動報告 Activities

2016.05.07

国会議員ギニア視察プログラム

日本国際交流センター(JCIE)では、国会議員をはじめとするポリシーメーカーに、グローバルヘルスの諸課題についての情報提供や現地視察の機会を提供しています。本年は5月1日-7日にかけて、自民党国際保健医療戦略特命委員会最高顧問である尾辻秀久参議院議員(元厚生労働大臣)を団長とする3名の国会議員に参加いただき、西アフリカのギニア共和国を訪問する視察プログラムを実施しました。     ギニアは、2014~15年にエボラ出血熱危機が起きた西アフリカ3カ国のひとつです。本プログラムでは、コンデ大統領をはじめとするギニア政府や議会の指導者、現地に拠点を置く国際機関、現地の保健医療従事者、エボラから回復した人々などとの懇談を通じて、危機対応状況や今後の対策、平時の保健システムの現状と課題について理解を深め、日本の国際貢献のあり方を検討しました。詳細は以下の報告書をご覧ください。   ギニア視察報告 報告書全文[892KB]   ギニア視察写真アルバム(Flickr)   本視察から見えた課題と日本の役割 1.グローバルな健康危機のための備え ギニアのエボラ対策に際し、日本政府やJICA等を通した日本の協力に対して深甚なる謝意が表明された。今後は、日本の有する医薬品、医療機材の継続的供給の検討、および、感染症流行国あるいはその周辺国での業務経験が豊富で、当該国の言語にも堪能な専門家を優先的に直ちに派遣できる機動的な制度の整備、ならびに、現地保健人材の継続的育成を検討することが重要である。 また、フランス軍がギニアにおける医療従事者用エボラ治療センター設置・運営で活躍した例から、パンデミックに際する日本の自衛隊のヘルスユニットの編成、初期対応に効果的な設備・資材の常備の必要性も確認された。   2.感染症危機からの復興期における日本の支援 今回のエボラ出血熱危機は、保健システムが脆弱な国では感染症の流行を効果的に封じ込めることができず、危機的な状況になりやすいという事実を露呈した。流行が終息した後に最も必要なのは、保健システムの再構築である。ギニア保健省は、2015-2024年の今後10年間の国家保健開発計画を策定し、エボラを含むすべての感染症・疾病対策、母子保健、質の高いケアの提供、コミュニティレベルでの保健システム強化、ガバナンスの向上等をその優先順位として掲げ、保健システム強化に取り組んでいる。   日本の貢献策としては、エボラのみならず、ギニアで発生頻度の高い感染症予防のためのサーベイランス強化支援、子どもの予防接種や母子保健等、ギニアの人びとの保健医療サービスへのアクセスの向上のための施策、エボラ回復者やエボラ孤児等への経済社会支援、ならびに西アフリカ仏語圏11カ国の域内人材を活用した保健人材育成ネットワークの構築により人材育成ならびに人材活用を促進する、等の可能性が検討できよう。   参加者 尾辻 秀久 参議院議員(団長) 佐藤 正久 参議院議員 小倉 將信 衆議院議員 大河原昭夫 (公財)日本国際交流センター理事長 勝間 靖 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科(国際関係学専攻)研究科長、 アジア太平洋研究センター所長 清水 利恭 (独)国際協力機構セネガル事務所・セネガル国保健社会活動省保健行政アドバイザー 位田 和美 (公財)日本国際交流センタープログラム・オフィサー 石山 紀行 同 ウェブ/出版デザイナー   訪問先/面談者 表敬・懇談 アルファ・コンデ大統領 クロード・コリー・コンディアノ国民議会議長 マカレ・カマラ外務大臣 アブデゥラマン・ディアロ保健大臣 マラド・カバ経済財政大臣 サコバ・ケイタ エボラ対策国内調整官 ユスフ・トラオレ ギニア赤十字社社長 国連カントリーチーム 在ギニア仏国大使館 在ギニア米国大使館 エボラ回復者 在ギニア邦人 視察 ドンカ病院透析センター ドンカ病院ラボ イニャス・ディーン病院 ノンゴ地区エボラ治療センター コナクリ国際空港   ギニア大統領表敬後の地元メディアへの記者会見 ノンゴ地区エボラ治療センター視察     追記(2017年2月24日) 本視察が契機となり、2017年2月14日に「日本・ギニア友好議員連盟」(会長:尾辻秀久参議院議員)が設立されました。

2016.03.30

研究事業 東アジアにおける「人の移動」とシビル・ソサエティの役割―地域の安全と繁栄のために

アジア地域は、地域内での超国家的な経済活動や、非経済活動により、観光、留学、労働、結婚等の形で人々の地域内での国際移住が進展しています。今後さらに経済のグローバル化、域内諸国の緊密化、そして各国内における人口構成の変化が進むにつれて、人の国際移動・移住が与える課題、機会への対応をどう進めていくかは大きな課題となります。また、人の国際移動・移住は、移住者の人権問題、移住者の技能・能力開発の問題、受け入れ国での社会統合の問題、移住者の再帰還と再統合の問題といったように、送り出し国と受け入れ国との結びつきの中で考えるべき課題が多くあります。   しかし、アジア地域における移住・移民政策には制限が多く、国・地域間の協力による移住システムの構築への議論は始まったばかりです。移動における制度的制約が大きければ大きいほど、非合法ルートに頼る者も増え、移動する者は様々な法的・行政的保護から排除された構造的な脆弱性を抱えやすくなるため、地域内における移住システムの構築は重要な課題となります。   こうした背景から、日本国際交流センター(JCIE)では、米国のマッカーサー財団によるプロジェクト「アジア安全保障イニシアティブ」の一環として実施してきた研究・対話事業「アジアの安全保障に対する非政府組織の貢献」の第3期として、東アジア8カ国における人の移動に焦点を当て、研究事業「東アジアにおける『人の移動』とシビル・ソサエティの役割―地域の安全と繁栄のために」を立ち上げ、2014~2015年度にかけて調査研究を実施しました。プロジェクトの概要と成果は以下のとおりです。   研究チーム 共同主査     Mely Caballero-Anthony   南洋理工大学准教授、ラジャラトナム国際研究院(RSIS)非伝統的安全保障研究センター所長(シンガポール)   毛受  敏浩 日本国際交流センター執行理事、チーフ・プログラム・オフィサー [中国]     田 方萌(Tian Fangmeng) 北京師範大学社会発展・公共政策学院助教(中国) [インドネシア]     Avianthi Azis インドネシア大学国際関係学科講師 [ミャンマー]     Moe Thuzar   シンガポール国立東南アジア研究所(ISEAS)ミャンマー研究プログラムISEASフェロー、アセアン研究センター研究主任 [フィリピン]     Jorge V. Tigno フィリピン大学政治学科准教授・学科長 [日本]     毛受 敏浩   [韓国]     李 惠珍(Lee Hyejin) 日本国際交流センタープログラム・オフィサー、法政大学比較経済研究所兼任研究員 [シンガポール]     Mathews Mathew シンガポール国立大学リ・クァンユー公共政策大学院政策研究所上級研究員 [ベトナム]     Liem T. Nguyen 人口・健康・開発研究所副所長(ベトナム) [東アジアの地域枠組み]     ガイガー 敦子 米国法人 日本国際交流センター財務・オペレーション担当ディレクター   Asia on the Move: Regional Migration and the Role of …

2016.03.30

2016年G7に向けたグローバルヘルス・ワーキンググループによる政策提言

JCIEは、2014年10月、東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室と連携し、2016年のG7伊勢志摩サミットに向けたグローバルヘルス・ワーキンググループを発足させ、サミット開催を控えた2016年5月に伊勢志摩サミットへの政策提言をとりまとめました。

2016.03.18

キックオフ・セミナー 女性の活躍が「チャンス」を生み出す

日本国際交流センター(JCIE)では、2016年度より開始する「ダイバーシティ社会推進プロジェクト」のキックオフ・セミナーとして、「女性の活躍が『チャンス』を生み出す」を3月18日に東京で開催しました。各界で女性活躍推進に取り組む方々をパネリストに迎え、政界・官界・経済界・教育界・NGO等より300名近くの方にご参加いただきました。   基調講演者には、前米国通商代表部次席代表代行・アジアソサエティ政策研究所副所長を務めるウェンディ・カトラー氏を招き、「これからの社会における女性活躍の課題―米国通商交渉行政官としての経験から」と題する講演を行いました。カトラー氏は、女性の活躍する社会の実現は日米共通の社会課題であると述べ、その実現のために必要な5つの課題として、(1)上層部のコミットメント、(2)法律・規則によるバックアップ、(3)労働文化の変化、(4)社会文化の変化、(5)メンタリング・経験共有・ネットワーキング・ロールモデルなどのサポートメカニズムを提示し、ジェンダー平等は女性だけの問題ではなく男性の問題でもあり社会や経済全体にとってプラスとなると強調しました。   続いて、加藤勝信 一億総活躍担当大臣が挨拶を行い、4月から女性活躍推進法が施行され、各企業は行動計画と数値目標を設定することになり、女性活躍の実現に向けた取り組みが更に推進されていく中で、本セミナーが今後の議論の展開や広がりにつながることを期待したいと述べました。   その後、道傳愛子 日本放送協会解説委員による司会で、野田聖子 衆議院議員、定塚由美子 内閣官房内閣人事局審議官、ポール S. エイモスⅡ アフラック社長、内永ゆか子 J-Win(ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク)理事長の5人のパネルによる議論が行われました。パネル・ディスカッションでは、日米の政界、官界、経済界における女性活躍のための具体的な課題が話し合われるとともに、女性の活躍支援のためのサポートのあり方、男女双方の意識改革の必要性、各界の対応(政策・制度)について議論が交わされました。   続くレセプションでは、冒頭、塩崎恭久 厚生労働大臣が挨拶し、安倍政権の下、日本が抱える人口減少、少子高齢化の課題解決のため、一億総活躍の推進が行われているが、中でも女性の活躍が解決のカギを握るものであり、本日の会議は極めて意義のあるものであると述べました。また、参加者同士の積極的な交流や意見交換が行われました。     映像の視聴(YouTube) 基調講演 ダイジェスト版(日本語) Keynote Speech Digest Version (English) パネルディスカッション ダイジェスト版(日本語) Panel Discussion Digest Version (English)   プログラム   開会     大河原 昭夫 (公財)日本国際交流センター理事長   ご挨拶     加藤 勝信 一億総活躍担当大臣     基調講演 「これからの社会における女性活躍の課題―米国通商交渉行政官としての経験から」     ウェンディ・カトラー   アジアソサエティ政策研究所(ASPI)副所長 前米国通商代表部(USTR)次席代表代行     パネルディスカッション「女性が活き活きと力を発揮できる社会の実現に向けて」     道傳 愛子 日本放送協会解説委員(モデレーター)     ウェンディ・カトラー   アジアソサエティ政策研究所(ASPI)副所長・ワシントン事務所長 前米国通商代表部(USTR)次席代表代行     内永 ゆか子   J-Win(ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク)理事長     ポール S. エイモス II  アフラック社長 …

2016.01.05

政治リーダーシップの不在とその国際的影響

日本における政治リーダーシップの不在は、一国のガバナンスの問題を超えて、東アジア、国際社会への影響も大きなものとなりつつあります。本研究プロジェクトでは、30~40才代の若手研究者をメンバーに、日米の政官財学界にて指導的役割を果たす人物へのインタビュー、東京・ワシントンでのワークショップを通じて、政治リーダーシップのありかたについて次世代からの提言を行いました。また日本の若手研究者が米国の研究者とネットワークを構築し、国際的な政策論議に参加する機会を設けることで、グローバルに通用する人材育成も目的としました。   本研究プロジェクトは、スミス・リチャードソン財団および(財)MRAハウスの助成を得て実施し、最終的な成果はLooking for Leadership: The Dilemma of Political Leadership in Japan (JCIE刊)として2015年12月に刊行しました。   研究体制 メンバー 内田 優香 フライシュマン・ヒラード・ジャパン シニア・アドバイザー、元外相秘書官 越智 隆雄 衆議院議員、日本の未来研究所理事長 斉藤 淳 ロゴス・エデュケーション代表、元衆議院議員 佐橋 亮 (公財)日本国際交流センター リサーチ・フェロー、神奈川大学法学部准教授 竹中 治堅 政策研究大学院大学教授 細谷 雄一 慶應義塾大学法学部教授 森 聡 法政大学法学部教授 ジェームス・ギャノン   (James Gannon) 米国法人日本国際交流センター事務局長     シニア・アドバイザー 田中 均 (公財)日本国際交流センター シニア・フェロー、(株)日本総研国際戦略研究所理事長 ジェラルド・カーティス   (Gerald Curtis) コロンビア大学教授

2015.12.16

国際会議 「新たな開発目標の時代とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ ― 強靭で持続可能な保健システムの構築を目指して ―」

  日本国際交流センター(JCIE)は12月16日、外務省、財務省、厚生労働省、JICAとの共催で、国際会議「新たな開発目標の時代とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:強靭で持続可能な保健システムの構築を目指して」を東京で開催しました。   本会議は、国際社会の新しい開発目標「持続可能な開発アジェンダ2030」が9月に採択されて以来初めて開かれる保健分野の大規模な国際会議として世界から注目を集め、安倍晋三内閣総理大臣、マーガレット・チャン世界保健機関(WHO)事務局長、ジム・キム世界銀行総裁、ビル・ゲイツ・ビル&メリンダ・ゲイツ財団共同議長、武見敬三参議院議員/JCIEシニアフェローが開会セッションで講演したほか、国内外の政府関係者や国際機関の代表、研究者、民間財団、市民社会の代表など約300名が一堂に会し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)という概念や政策が、新しい開発目標へ移行する過程で、また公衆衛生危機への対応と備えを強化する上でどのような役割を果たせるかを議論しました。日本は2016年にはG7議長国となり、5月にG7伊勢志摩サミット、9月にG7神戸保健大臣会合が開催され、また、初めてアフリカの地で開催されるアフリカ開発会議(TICAD)も同年に開催される予定です。本会議は、こうした重要な会合に向けて、日本がグローバルヘルス分野でリーダーシップを発揮する上で大きな布石を打つ機会となりました。 会議の報告書(英文)と議論の概要は以下のとおりです。   会議報告書 会議報告書 高解像度版(英文)[3.6MB] 会議報告書 低解像度版(英文)[1.5MB] 会議報告書 エグゼクティブ・サマリー(和文)[318KB] 会議写真アルバム(Flickr)     会議概要 日本は、外交政策の柱のひとつである人間の安全保障の概念普及への具体的手段として、国内外でユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の促進を実施・支援してきており、世界各国によるUHC達成への支援、ならびに、他国によるUHC達成支援を促進するよう、常に政治的関心を高める努力を続けてきた。本会議の開会にあたり安倍総理大臣は、G7伊勢志摩サミットにおいて、保健を優先課題として取り上げ、国際的な議論に主導的な役割を果たしていく意思を表明した。また、「人間の安全保障」の考えに立ち、保健を含む世界規模の課題の解決により重要な役割を果たすことが「積極的平和主義」政策を実践することになると強調した。 安倍総理大臣スピーチ 和文・動画 | 英文   開会セッションにおけるグローバル・リーダーシップ・アドレス講演で、チャンWHO事務局長はUHCへの力強い支持を表明し、UHCは「公平な社会を実現する最も強力な政策オプションである」と述べた。ジム・ヨン・キム世銀総裁は、マーティン・ルーサー・キングJr.の言葉「私たちは緊急性に直面している。もはや無関心や自己満足に浸っている時間などない」を引用し、「すべての人に健康を」というイニシアティブが謳われたアルマアタ宣言を今こそ実現しなければならない、と各国の行動を促した。   基調講演にたったビル・ゲイツ・ゲイツ財団共同議長は、多くの命を救い生活を向上させる歴史的瞬間が今訪れているとし、MDGsからSDGsへの移行期にG7議長国になる日本には、引き続きグローバルファンド, GHIT, GAVI, ポリオ、マラリア根絶など、終わっていない課題への支援を期待したい、そこには何百万人もの命がかかっている、と述べた。   武見参議院議員 → 動画(YouTube) チャンWHO事務局長 → スピーチ全文 | 動画(YouTube) キム世界銀行総裁 → スピーチ全文 | 動画(YouTube) ゲイツ・ビル&メリンダ・ゲイツ財団共同議長 → 動画(YouTube)   セッション1と2では、特定の疾病に特化していたミレニアム開発目標の時代から、より広範で互いに関連する開発目標を掲げるSDGs (持続可能な開発目標)へシフトしていく中、また、昨今のエボラ出血熱の流行で露呈された脆弱な保健システムの影響が残る中で、実際にUHCを実施していく際に直面する課題は何か、各国がUHCをどのように推進し課題を克服しつつあるかという経験が議論された。 テドロス・エチオピア外相(左)、ワシントン大学マレー教授(右) ディティウ・ストップ結核パートナーシップ事務局長(左)チョウドリーBRAC会長(右)   ランチセッションでは、塩崎恭久厚生労働大臣、ピヤサコン・タイ保健大臣が基調講演を行った。塩崎大臣からは、公衆衛生危機に対応するWHOの基金への拠出を行う考えが示された。後半のGHITによるセッションでは、保健アクセス改善の触媒としてイノベーションが果たす重要な役割について議論された。   午後のセッション3では、国境なき医師団やWHO、世界銀行等のさまざまな機関の立場から、また、来年1月に米国医学アカデミーにより報告書が発表されるグローバルヘルスのリスク・アセスメント等の観点から、将来の公衆衛生危機の負の影響を最小限に食い止めるためのグローバル・ヘルス・ガバナンスの改革についての議論を掘り下げた。 セッション4では、来るべきG7伊勢志摩サミットにおける日本の果たすべき役割に焦点を当て、武見敬三委員長の下、分野横断的に自由闊達な官民学連携の研究協力を行っている「2016年G7に向けたグローバルヘルス・ワーキンググループ」による政策提言案が発表された。   最終セッションでは、ランセット誌のリチャード・ホートン編集長が議論の総括を行い、G7の主導により各国がUHCの評価やモニタリングを通じて説明責任を確保することの重要性を指摘した。閉会挨拶で、長嶺外務審議官は、会議参加者への感謝とともに、本会議の議論を今後のG7保健分野の議論に活かしていきたいと述べ会議を締めくくった。   インタビュー(YouTube) 塩崎 恭久 厚生労働大臣 テドロス・アダノム・ゲブレェサス エチオピア連邦民主共和国外務大臣 アリエル・パブロ・メンデス グローバルヘルスと母子保健次局長、米国開発庁 セス・バークレー GAVIワクチン・アライアンスCEO マーク・ダイブル 世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)事務局長   プログラム ■ 開会セッション 開会挨拶:  安倍 晋三 内閣総理大臣 会議主旨:  武見 敬三   参議院議員、2016年G7に向けたグローバルヘルス・ワーキンググループ委員長、(公財)日本国際交流センターシニアフェロー グローバル・リーダーシップ・アドレス:  マーガレット・チャン 世界保健機関(WHO)事務局長  ジム・ヨン・キム 世界銀行総裁 基調講演:  ビル・ゲイツ ビル&メリンダ・ゲイツ財団共同議長 モデレーター:  北岡 伸一 (独法)国際協力機構理事長  大河原 昭夫 (公財)日本国際交流センター理事長   ■ セッション1:開発をめぐる国際環境の変化における健康 …

2015.12.15

「多文化共生と外国人受け入れ」 に関する自治体アンケート2015報告書

 人口減少が深刻化している中、日本としての外国人の受け入れをめぐる議論が活発化しつつあります。 こうした状況を踏まえ、日本国際交流センター(JCIE)では、2015年9月から10月にかけて外国人受け入れの現場となる自治体を対象に、多文化共生政策・取り組みの現状と、今後の外国人(移民)の受け入れについての認識、 体制を把握するため、2014年に続きアンケート調査を実施しました。   都道府県   配布数 47 回答数 27 回収率 57% 政令指定都市 配布数 20 回答数 10 回収率 50%   報告書および主な調査結果は以下のとおりです。   報告書 「多文化共生と外国人受け入れに関する自治体アンケート2015」-調査結果報告書 2015年11月27日   主な調査結果 (1)現行の多文化共生施策について 「外国人に対する日本語・日本文化支援」(都道府県:96.3%、政府指定都市:100%、以下、同様の順)、「多言語サービス」(100%、90%)、「外国籍子供に対する就学、教育支援」(70.4%、100%)等の支援に関する取り組みは進んでいる。それに対して「外国人住民に対する地域コミュニティ(自治体等)への参加促進」(29.6%、70%)や、「外国人住民のコミュニティの形成支援」(18.5%、60%)、といった外国人の地域参加にかかわる施策については遅れが見られる。 多文化共生政策の課題について、「外国人に対する情報提供」(88.9%、80%)や、「予算・担当人員の不足」(63%、90%)、「地域での担い手不足」(48.1%、100%)が多くあげられ、外国人住民への広報のあり方や、多文化共生政策・施策を実施するための体制が十分ではないことが伺える。   (2)政府の外国人受け入れの拡大について 政府が受け入れを目指す高度外国人材と留学生の定着については「具体的な施策を実施している」(40.7%、60%)が最も多かったものの、「まだ具体的な施策を行う予定はない」(33.3%、30%)という意見も3割あった。政府の外国人受け入れ拡大政策については「外国人介護人材の受け入れについて」、「国家戦略特区を活用した外国人の受け入れについて」、「建設・造船分野における外国人労働者の活用について」のいずれの質問においても、「まずは実施の動向を見て判断したい」や「わからない」との回答が多く、現時点で制度拡大について積極的に評価する意見は比較的少なかった。   (3)地方創生について 「外国人観光客の誘致」(88.9%、100%)、「海外への地元特産品の輸出」(77.8%、70%)に対する関心が高く、「地元企業のグローバル・ニッチ産業としての育成支援」(40.7%、30%)といった地方の独自の資源、特色を生かす取り組みが多く見られた。それに対して「外資系企業の誘致」(33.3% 、50% )や、「外国人材の受け入れ、定住への支援」(18.5%、40%)のように、海外から新たな資源を取り込む施策は相対的に少ない。地方創生において多文化共生(外国人の定住化)を考慮に入れた取り組みは限定的であると推察される。   (4)移民、難民の受け入れについて  移民政策の必要性については、「分からない」(44.4%、40%)が最も多いものの、都道府県においては「移民政策は必要ではない」は0%である一方で、「日本としての移民政策を検討すべきである」(3.7%)、「慎重な検討が必要だが、今後検討する必要がある」(29.6%)との結果となり、とりわけ人口減少の厳しい自治体等において移民政策の必要性を認識する回答が見られた。また、国に外国人の受け入れに関する明確な方針の策定を求める自由意見も見られ政府の早急な対応への期待が伺える。 難民に関して、政府から難民受け入れの要請があった際の自治体の対応として、都道府県において「慎重な検討が必要だが前向きに検討したい」(11.1%)となった。受け入れ人数については「就労先や住居の問題が解決できれば想定人数は数千名」との回答が1県あった。政令指定都市においては移民、難民の双方においてわからないとの回答が目立った。

2015.12.05

シンポジウム「ドイツはなぜシリア難民を受入れるのか?-ドイツの経験と日本への示唆」

日本国際交流センター(JCIE)は、認定NPO法人難民支援協会との共催で、12月5日に法政大学においてシンポジウム「ドイツはなぜシリア難民を受入れるのか?-ドイツの経験と日本への示唆」(協力:フリードリヒ・エーベルト財団、後援:ドイツ連邦共和国大使館)を開催しました。 シリア難民問題が国際社会において重要な課題になっている今、ドイツはシリア難民の受け入れ・問題においてリーダシップを発揮しています。このシンポジウムは、こうした状況を踏まえて、難民に対するドイツのこれまでの姿勢や、国内での対応状況などについて理解を深めるとともに、ドイツの対応から日本は何を学べるのかについて考えることを目的として行われました。 シンポジウムの概要は以下のとおりです。   第1部 基調講演 毛受敏浩JCIE執行理事による開催挨拶に続き、今回のシンポジウムに際してのドイツ大使からのメッセージが読み上げられた。ドイツ大使からのメッセージ[132KB]   第1部では、最初にアンドリュー・ホルバート城西国際大学招聘教授が「難民急増とドイツの対応」について講演を行った。   ホルバート教授は、自身の家族がハンガリーからカナダへ難民として渡った経験を元に、難民が日本でイメージされるような社会の負担になる存在ではなく、社会に貢献する存在となることを紹介した。また、ヨーロッパにおいて、冷戦時代の経験の違いなどから、西欧と東欧の間に難民や移民に対する考え方の違いがあるとの見解を述べた。そして、日本では、外国人に対して日本人と同様の日本語レベルを求めるがゆえに無意識に言語差別を行ったり、日本の習慣に対する理解を強く求めたりするなど、外国人との接触や、受け入れに大きな障壁が存在することを指摘した。   続いて、久保山亮専修大学兼任講師が「難民とドイツの国内事情」について基調講演を行った。久保山氏は、戦後のドイツの移民・難民受け入れについての変遷を述べるとともに、現在、ドイツでは移民受け入れによる経済的メリットを引き出すことを重要視しているとの見解を述べた。また難民については、ドイツ基本法(憲法)に難民に関する規定が明記されていること、過去に年間数十万人単位で難民を受け入れたことがあり、その過程における試行錯誤が、今回の受け入れにおいて生かされていることを指摘した。   そして、これまでドイツの難民・移民の受け入れおいては、自治体や、地域のNPO/NGOが重要な役割を果たしており、シリア難民の受け入れも草の根の組織の支援・ボランティア活動が大きな役割を果たしていることを強調した。     第2部 パネルディスカッション パネルディスカッションにおいては、JCIE毛受敏浩執行理事のモデレーションで、ホルバート、久保山の両氏に加え、石合力氏(朝日新聞社国際報道部長)、守屋由紀氏(UNHCR駐日事務所広報官)、石川えり氏(難民支援協会代表理事)の5人のパネルによる議論が行われた。   まず、石合、守屋、石川の3氏が、難民受け入れに対するドイツの対応と現状に関する基調講演をもとに、ドイツの取り組みについての見解や感想を述べた。その後は、パリでの同時多発テロ(2015年11月14日)がシリア難民問題への対応と受け入れに与える影響についての議論が行われた。そこでは、難民の受け入れがテロリストの入国に直決するとの単純な理解ではなく、テロを難民問題と混同せず、難民問題に対しては冷静に対応すべきとの議論がなされた。   また守屋氏、石川氏は、難民支援を行う当事者として、日本における難民受け入れの問題・課題や、難民に対する正しい理解と、難民による社会貢献等についての情報提供の必要性などについて意見を述べた。最後は、難民や移民の受け入れに消極的な日本社会、日本人に、社会の多様性を受け入れるために何が求められるのかをめぐって議論を行い、パネルディスカッションを終了した。  

2015.11.30

日本・ASEAN戦略的パートナーシップに関する知的対話(2012~2015)

東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本は、2003年の日・ASEAN特別首脳会議での東京宣言および付属の行動計画に基づいて、政治・経済・安全保障等のさまざまな側面にわたる施策を展開するなど、過去40年にわたり緊密な関係を構築してきました。しかし、その後、東アジア・サミットの開始、中国・インドの台頭、国際社会における東アジアの重要性の高まり、さらには既存のアジア太平洋協力機構(APEC)ASEAN地域フォーラム(ARF)等の地域機関が新たな展開を図るなど大きな変化を見せる中で、日本とASEANがより緊密な協力関係を推進していくことが求められています。   本研究プロジェクトは、インドネシア外務省の委託を受け(日ASEAN統合基金)、インドネシアの戦略国際問題研究センター(CSIS)と日本国際交流センター(JCIE)との共催で2ヵ年かけて実施したもので、2015年から2030年を見据え、日本とアセアンの戦略的パートナーシップを強化するためにいかなる努力がなされるべきか、研究及び対話を行いました。   具体的には、(1)ASEAN統合プロセスにおける日本の役割、(2)東アジアにおける日・ASEAN協力、(3)地球規模課題への対応及びグローバル・ガバナンスにおける日・ASEAN協力の可能性、をテーマとして取り上げ、パートナーシップ強化の新たなアプローチを検討し、両地域の政策決定者に政策提言を行い、また、政策決定者、研究者、経済人、メディア、シビル・ソサエティ等のステークホルダーにASEAN-日本関係についての議論と対話の場を提供しました。   リザル・スクマ戦略国際問題研究センター所長、添谷芳秀慶応義塾大学教授を研究共同主査として、1年目は、経済関係、安全保障関係、社会・文化関係に関する研究グループを組織し、2013年9月に提言書(英文|和文)を日本及びASEAN加盟国政府に提出。 研究グループによる総括論文、背景論文を含む報告書は同年11月初頭に刊行し、11月11日には慶應義塾大学三田キャンパスにて、日ASEAN友好協力40周年記念シンポジウム「2015年以降の日ASEAN関係:民主主義・平和・繁栄の地域を目指して」を開催しました。 2年目は、東アジア、グローバル・ガバナンスにおける日・ASEAN協力のあり方を検討するため、2つの研究グループを立ち上げ、2014年8月に政策提言(英文)を日本及びASEAN加盟国政府に提出しました。具体的な研究テーマについては第2期メンバーリストを参照。   最終成果報告書 第2期 Navigating Change: ASEAN-Japan Strategic Partnership in East Asia and in Global Governance 第1期 Beyond 2015: ASEAN-Japan Strategic Partnership for Democracy, Peace, and Prosperity in Southeast Asia   研究活動 第2期 最終座長会合及び有識者とのラウンドテーブル(2014.6.12-13) ジャカルタ研究会合(2014.2.18-19) バリ準備会合(2013.6.13-14)   第1期 ジャカルタ最終会合(2013.6.10-11)  公開セミナー(2013.6.11)   ジャカルタ・ポスト掲載記事 “Strong ASEAN-Japan ties important to global stability” 東京ワークショップ(2013.2.2-4) バリ準備会合(2012.9.1-2)   研究メンバー 【顧問】 Jusuf Wanandi Co-Founder and Vice Chairman of the Board of Trustees, CSIS Foundation, Indonesia 田中 均   日本総合研究所国際戦略研究所理事長  (公財)日本国際交流センターシニア・フェロー 【研究主査】 Rizal Sukma Executive Director, Centre for Strategic and …

2015.10.29

日独フォーラム第24回合同会議

第24回日独フォーラムが、10月27日から29日の三日間にわたり東京で開催されました。日独フォーラムは、1992年の宮沢・コール日独首脳会談により設立が合意され、1993年2月に発足した民間レベルの対話フォーラムで、JCIEは第1回より運営等の協力をしています。

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