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発行
制作・著作:フォード財団
ビデオ制作/スクリプト編集/スタディガイド執筆:茶野順子(フォード財団グラントクラフト・ビデオプロジェクトリーダー、笹川平和財団より出向)
日本語版監訳:茶野順子
日本語版制作:(財)日本国際交流センター
制作年月・判・価格等
2003年3月、VHS/カラー/ステレオ/56分/日本語字幕、実費頒布価格:3200円(送料込み/税込み)
概要
グラントクラフト(GrantCraft)は、米国のフォード財団が開発した助成財団の実務家のための研修資料(ビデオ、ガイドブック、事例集からなる一連のシリーズ)です。
米国では、過去10年ほどの経済の好況を背景に新しい財団や新しい考え方のフィランソロピストが多く誕生し、また世界的にも地球的課題の急増に応えるシビル・ソサエティの活動を支援するための財団活動が活発化しています。これに伴い、より効果的な助成事業のあり方についての関心が高まってきたため、フォード財団では、これまで蓄積したノウハウや経験を他の財団と共有し、財団界全体の助成事業の質を向上させることを目的にグラントクラフトの開発に着手しました。すべての資料は「グラントクラフト」専用のホームページ(http://www.grantcraft.org)上で閲覧・ダウンロードでき、現在も新しい素材が開発され続けています。
(財)日本国際交流センターでは、日本のNPO助成のあり方の議論への貢献を目的として、グラントクラフトのビデオシリーズ(全9巻11話)の中から、現在の日本で最も参考になるだろうと思われる3話を選び、日本語版(字幕スーパー入り)を制作しました。
【詳細】
■スーザン・ベレスフォード フォード財団理事長のメッセージ(ビデオより抜粋)
財団とは、「何かを変えたい」と望む世界中の人々にとってのリソースなのです。リソースという言葉はとても大切で、私は、この言葉には二つの意味あいがあると思っています。1つには、助成財団のプログラムオフィサーは“解決”をもたらすのではなく、解決のための“リソース”であるべきだ、ということです。答えを押しつけるのではないのです。2つ目は、グランティー(助成を受けるNPO)に不足している「何か」を補うリソースを、プログラムオフィサーはできるだけたくさん持っていなくてはならない、ということです。
もし、本当に革新的な変化を求めるのであれば、辛抱強くなければいけません。はっきりした成果や成功はすぐには見えないもので、何年も試行錯誤を繰り返してすばらしい成果が生まれるのです。(中略)重要なのは、プログラムオフィサーがリスクを負ってでも助成したくなる環境、失敗してもそれを乗り越えられる環境を整えることでしょう。プログラムオフィサーは、成果の出ない不確定な状態に寛容でなければなりません。どんな事が起こるか予想はできないのです。ですから、思い通りに事が運ばなくても、財団はプログラムオフィサーをサポートする必要があります。彼らが次のステップヘと踏み出し、失敗から学べるよう手助けすべきです。それこそは、財団が組織として持つ価値のひとつなのです。
■財団のコラボレーション:森林認証制度
(FUNDERS COLLABORATIVE: Sustainable Forestry)
森林保護のために、国際規格の森林認証制度をアメリカに導入し普及させていく事業を紹介。財団のプログラムオフィサーがカタリストとなり、他の財団や環境NGO、木材関連企業の協力を得て、制度を全米規模へと普及させる過程を描いている。財団間の協力関係の構築や、多様なセクターの間でのパートナーシップの構築など、プログラムオフィサーの重要な役割が示されている。
■ネットワークの構築:州財政分析事業(SFAI)
(BUILDING A NETWORK: State Fiscal Analysis Initiative)
アメリカの連邦政府の予算と税制を分析する「予算政策センター」を参考に、州レベルで同様の「州財政分析事業:SFAI」を立ち上げ発展させる過程が描かれている。財団は、州財政の調査と分析ができるNPOを各州で探し出し、SFAIのメンバー組織として専門性を高めることができるようサポートする。各NPOは、自分の州の財政政策を分析し、それらの政策が社会的弱者にどのような影響を及ぼすかという視点に立ちつつ、公正で信頼のおける情報を、政策立案者やマスコミ関係者、NGOに提供する。この事業を考案したプログラムオフィサーが、他の財団の賛同を得て共同助成で事業を拡大し、SFAIのメンバーNPOどうしのネットワークを拡大していく過程を示している。
■NGOと行政のパートナーシップ:DV被害者総合支援センター
(SUPPORTING A NEW PARTNERSHIP: One Stop Crisis Center)
フォード財団インド事務所のプログラムオフィサーがカタリストとなって、NGO、行政、病院のパートナーシップを構築し、ドメスティック・バイオレンスの被害にあった女性のために、保護から治療、精神的ケア、法的サポートまでを一カ所で行うことのできる総合支援センター(One Stop Crisis Center)をボンベイ市の病院内に設立した事例を紹介。視察調査を通して目的を共有し明確化することで、異なるセクターに属する関係者が共通意識を高める様子など、プログラムオフィサーがいかにしてセクター間のパートナーシップを支援するかが描かれている。
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