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日本国際交流センター(JCIE)では、公益財団法人トヨタ財団の助成を得て、「越境的移動における情報保障の社会基盤―公正で安定した移住の実現に向けて」を実施します。
外国人・移住労働者は国境を越えて移動するがゆえに、言語の問題とそれに伴う情報の欠如、新たな地域社会とのつながりの弱さ、さらに苦情・救済手続きへのアクセスの躊躇から、脆弱な状態に置かれやすく、大幅なディーセント・ワークの欠如を経験することが多くあります。本事業では、送り出し国であるネパールとミャンマから、受入れ国である日本と韓国への移住労働における情報を巡る課題を明確にし、移住する者にとって正確で信頼できる情報へのアクセシビリティを可能とする「情報保障」の在り方を模索することを目指します。
アジアにおける労働力移動は、送出し国と受入れ国の政府による制度的枠組みの整備と、それに伴う国境を越えた人材募集・斡旋ビジネスの拡大により大規模なものになっています。しかし、労働力移動を巡っては、送出し国と受入れ国の政府は送り出しと受入れの拡大に力を入れる一方で、正確な情報提供をはじめとする移住プロセス全体におけるセーフティネットの構築に向けた取り組みは弱いです。そのため、移住労働を希望する人々は個別的・断片的な情報しか得られず、移動における圧倒的な情報の非対称性により、不正な募集・斡旋行為、就労に係る権利の侵害、技能のミスマッチ、社会的保護からの排除といった、大幅なディーセント・ワークの欠如を経験します。
外国人・移住労働者は国境を越えて移動するがゆえに、言語の問題とそれに伴う情報の欠如、新たな地域社会とのつながりの弱さ、さらに苦情・救済手続きへのアクセスの躊躇から、脆弱な状態に置かれやすいです。しかし、外国人・移住労働者の抱える問題や脆弱性は、移住した後、ホスト社会との接触のみによって規定されるものではありません。移住する前に、受入れ国の制度や条件についての不十分な理解により準備費用が増大したり、移住先における労働条件や労働実態についての理解のないまま雇用契約を結んだりするという、正確な情報の欠如の中で移住者が渡航を決定するという意図せざる帰結として現れる側面が強いのです。
本事業では、「弱体化しない移住」の実現に向けて「情報保障」に焦点を当て、アジアの主な移住先である日本と韓国で活動する移住者とそのコミュニティ、労働者の送出しの後発者として国際労働市場におけるシェア獲得を巡る競争に積極的なネパールとミャンマーにおける移住(労働)経験者と関連組織によるネットワーキング作りを目指します。それを通じて、誰もが情報や意見を発信する主体となるべきという「情報の発信の保障」という戦略的視点に立って、移住する者にとって正確で信頼できる情報へのアクセシビリティを可能とする情報保障の在り方を模索していきます。
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