「人間の安全保障」の視座のもと
国内外の諸課題解決をめざす
地政学的対立が高まり世界各地で戦争や地域紛争が頻発する一方、気候変動やパンデミックなど、国境を越え国際社会全体の協力が求められる課題も山積しています。
対立と協力が複雑に絡み合う時代において、人間の生存と生活と、尊厳を重視する「人間の安全保障」は、価値観の相違や分断と対立を乗り越え対話を可能にしうる理念です。
JCIEでは、「人間の安全保障」の視座のもと、外交‧安全保障、日米関係、市民社会の推進、⺠主主義の擁護、グローバルヘルス(国際保健)、グローバルな人の移動、女性のエンパワメントなど、多角的なテーマで、国際交流や政策対話‧政策提言活動を行っています。
定期的な政策対話
三極委員会や二国間での対話など、民間レベルの政策対話プラットフォームを運営し、国内外の政策決定者や有識者による定期的な政策対話を実施します。民間の対話は、政府間の協議に比べ、より長期的な視野で、新しい問題への対応なども含めて立場にとらわれることなく忌憚のない議論ができることが特質です。
JCIEの対話は、政治、経済、外交‧安全保障からグローバル課題まで、その時々の国際情勢に応じた喫緊のテーマを分野横断的に扱い、⺠間レベルの恒常的な対話のチャンネルと人的ネットワークを維持し、政策形成に寄与しています。
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三極委員会
北米、欧州、アジア太平洋の有識者による民間政策協議グループ
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日独フォーラム
日独両国の有識者による民間レベルの対話フォーラム
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日韓フォーラム
日韓両国のオピニオンリーダーによる対話フォーラム
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日英21世紀委員会
日英両国の民間レベルの政策対話フォーラム
日米関係が強固であることは、アジア太平洋地域、そして世界の平和と安定に寄与します。米国法人JCIE/USAとの連携で日米関係事業を実施しています。
グローバル課題への取り組み
2020年代に入り国際秩序は激変し、地政学的対立の高まりにより世界各地で戦争や地域紛争が頻発し、国際関係に大きく影響しています。しかしより広い視野で見れば、気候変動、パンデミック、自然災害、食糧・資源問題など、生命や地球に関わり相互に連鎖する脅威に対し、国境を越え国際社会全体の協力が求められており、とりわけ持続可能な開発目標(SDGs)の達成が極めて重要になってきています。
対立と協力が複雑に絡み合う時代において、私達は何を道標とすればよいのでしょうか。人間の生存と生活と尊厳を重視する「人間の安全保障」は、価値観の相違や分断と対立を乗り越え対話を可能にしうる理念であることから、JCIEは人間の安全保障の視座を重視して、国際的な連帯を通じて以下の4つのグローバル課題に取り組んでいます。
民主主義の擁護
人権の尊重や人間の尊厳は、国連憲章や国連の世界人権宣言でもうたわれている国際規範であり、人間の安全保障を支える礎石です。
近年、世界各国で自由、⺠主主義、人権の尊重、法の支配などが後退する傾向が見られる中、普遍的価値の擁護が重要です。インド太平洋地域において、国際秩序と普遍的価値がどのような脅威にさらされているかを理解し、日本としてどのような政策を展開推進すべきか検討することを目的に、政策提言と情報発信に取り組んでいます。
グローバルヘルス(国際保健)
健康は基本的人権のひとつであり、世界中すべての人々が健康であることは平和を守り安全を保証するための基礎です。
持続可能な開発目標(SDGs)のひとつである保健医療に焦点を当て、貧富の差や社会的属性の違いにかかわらず必要な保健医療サービスが受けられる社会の構築、国境を越える感染症への対応や急速に進むアジアの高齢化など、地球規模課題としての保健医療課題の解決に向けたプラットフォームの運営、政策提言、アドボカシー、情報発信等を行っています。
グローバルヘルスと人間の安全保障プログラム
グローバルヘルスに対する支持基盤強化と官⺠連携の推進、日本の知見に基づく対外戦略策定の後押し、人間の安全保障の視点に立ったグローバルヘルスをめぐる国際対話の推進を目的に以下の活動を行っています。
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「グローバルヘルスと人間の安全保障」運営委員会
人間の安全保障を視座にグローバルヘルスを推進する官民連携プラットフォーム
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グローバルヘルス政策に関する多様なステークホルダーとの対話
グローバルヘルス課題を解決するため、分野やセクターを超えた連携・対話を推進
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日米グローバルヘルス協力対話
グローバルヘルスに関わる日米協力を推進する官民対話の枠組み
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GFF (グローバル・ファイナンシング・ファシリティ) に対...
GFFへの支援を強化し、女性・子ども・青少年の健康と栄養改善を図る
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アジア医薬品・医療機器規制調和推進タスクフォース
アジアにおける医薬品・医療機器にかかる規制調和の推進
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グローバルヘルスに関する議員のエンゲージメント
国会議員に、幅広い見地からグローバルヘルスへの理解を深める機会を提供
グローバルファンド日本委員会
グローバルファンド日本委員会(FGFJ)は、世界エイズ‧結核‧マラリア対策基金(グローバルファンド)を支援するイニシアティブです。世界三大感染症の流行の収束に向けて日本の官⺠双方における国際貢献の強化を目指し、超党派の国会議員や有識者の参加を得て政策対話、調査研究、意識啓発を行っています。
アジアの高齢化と地域内協力
高齢化に伴い生じる様々な課題に取り組み、試行錯誤してきた日本の経験を他のアジア諸国と共有し、またアジアとの交流が日本国内の課題解決にも資することを目指し、国際政策対話の開催、革新的な事例の表彰事業、情報発信事業などを実施しています。
グローバルな人の移動
人の国際移動と日本における移民・外国人の定住化が進展する中、安全な移動と安定した定着を図る上で、情報、言語、文化、法制度などが阻害要因になっています。
社会の構成員としての移民・外国人の人材育成を含む社会統合と包摂を目指す実践への支援や、より安全で秩序のある人の移動を可能とする制度的枠組みの検討などを通じて、従来未整備であった日本の外国人受入れ基盤と未来志向の受入れ政策の構築に向けた政策提言、アドボカシー、情報発信等に取り組んでいます。
市民セクターとの連携
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外国ルーツ青少年の自立をささえる進路・キャリア支援事業
日本の未来を担う、外国ルーツ青少年の将来の選択肢を広げる
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アウトリーチ手法による外国ルーツ住民の自立支援事業
支援の狭間に置かれていた外国ルーツの人に向けて
民間セクターとの連携
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外国ルーツ青少年未来づくり検討会
外国ルーツ青少年のことを、企業や業界団体と一緒に考える
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住友商事株式会社「100SEED」事業との連携による人的支援...
質の高い教育をみんなにー住友商事との連携事業
政策対話・政策提言
調査研究
女性のエンパワメント
グローバル化とともに、ダイバーシティ(多様性)が世界的な関心を集めています。
多様な国際事業で培ったグローバルな視点とセクターを超えたネットワークを活用し、国内のジェンダー・ギャップを縮小し、市⺠社会の重要なアクターとして女性が真に活躍するダイバーシティ社会の実現を目指した活動を実施しています。
政治家のエンゲージメント
世界の安定と平和な未来のためには、国の政治リーダー同士が友好と理解を深めることが不可欠です。JCIEは50年以上にわたり、特に日米間の政治家の協力関係を促進してきました。
1968年に開始した日米議員交流プログラムは、米国連邦議会議員と日本の国会議員の間で行われている議員交流プログラムの中で最も長い歴史を持ちます。政策形成に関わる米国の議会スタッフや若手の地方議会議員を対象とした政治交流プログラムも実施しています。
また、女性のエンパワメント、グローバルヘルスを始め、JCIEのすべての事業において、政策対話や各種委員会に政治家の主体的な参画を求め、⺠間の知見を交えた政策議論を進めることで、より質の高い政策形成に寄与しています。
終了プログラム一覧
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グローバルヘルス国際諮問グループ
G20、栄養サミット、TICAD7に向けて、グローバルヘルスにおける日本への期待を提言
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米国ジャーナリスト・フェローシップ・プログラム
米国のジャーナリストを日本に招き日本理解と取材の機会を提供
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2016年G7に向けたグローバルヘルス・ワーキンググループ
G7伊勢志摩サミットに向け、人間の安全保障に根差したより効果的なグローバルヘルス・ガバナンスの構築を提言
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国際会議 「新たな開発目標の時代とUHC ― 強靭で持続可能...
国内外の関係者が一堂に会し、ポストMDGsにおけるUHCについて議論
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健康と人間の安全保障プロジェクト(2011~15年)
アフリカ、米州等のパートナーと「健康に対する人間の安全保障アプローチ」の付加価値を検討
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UHCに関する日本・世界銀行共同研究プログラム
UHCの実現と維持に必要な施策を保健財政と保健人材の両面から検討した国際共同研究