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2023年2月15日、日本国際交流センター(JCIE)は、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)との共催により、公開シンポジウム「あなたの知らない、日本に暮らす外国人」を開催しました。当日、登壇者は会場、視聴者はオンラインでの参加となるハイブリッド形式で実施しました。
本公開シンポジウムは、休眠預金事業「在留外国人への緊急支援と持続的な体制構築」(以下、SAFOR)の活動・成果報告の一環として行われたもので、SAFORの助成対象団体(9事業)の代表者に登壇いただき、1年弱の活動を通して見えた課題と成果、また、今後必要な支援の在り方や日本社会としての考え方等、多岐にわたるテーマについて議論が行われました。自治体、企業、NGO/NPO、メディア、大学・研究機関の関係者、学生など、延べ200名以上の方々に参加いただきました。
第1部 報告「私たちの新たな試み」では、子ども・若者の居場所づくりや労働問題等に関わる活動をしてきた団体や設立間もない団体の代表者を迎え、近年の社会情勢の変化に伴い外国人支援に関わるようになったきっかけ、活動を通して得らえた気づきなどが共有されました。外国人コミュニティ組織へのアウトリーチや支援を必要とする外国人に辿り着くまでには、団体として信頼を得る必要があり、そのための地道な努力が欠かせない等、短期間で成果を出すことの難しさも述べられました。一方、社会のために何かしたいけど何をすればよいか分からない—そんな思いをもった学生や若者、地域住民が活動を通して、だれかの役に立つことができたという、支援者側の意識変容についても触れられました。
第2部 座談会「日本で日々を暮らす外国人の声」では、ジャパン・プラットフォームの藤原航 地域事業部長 のモデレートのもと、教育・労働・医療・コミュニティを軸に4つの団体の代表者が登壇し、各分野における課題背景や支援現場の実情などを中心に議論を交わしました。
在留外国人の増加と共に、課題が多様化、複雑化する中で、適正な制度が整備されることが最も望ましいとしながらも、とりわけ現段階では、行政、関係機関、専門家、地域のキーパーソン、そして他のNPOとの連携が重要であるという意見が共有されました。長年支援の継続ができた背景に、「(在留外国人に)日本に来てよかったと思ってもらいたい」「目の前にいる人をただ何とかしたい」といった想いが活動を支える原動力となっていることも明かされました。
第3部 トークセッション「わたしの描く未来」では、事務局が1月に実施した「在留外国人に関する意識調査」の結果報告の後、モデレーターのJCIE執行理事 毛受敏浩のもと、移住者と連帯する全国ネットワークの鳥井一平 共同代表と青少年自立援助センター 田中宝紀 定住外国人支援事業部責任者との間で議論が行われました。在留外国人をめぐる様々な課題の本質を巡っての意見交換や、外国人受入れに関する制度、これからの日本人としての意識のあり方から理想像としての共生社会に至るまで、多文化共生の論客でもある二人ならではの意見交換が行われました。その中で、今の日本社会の制度設計には、外国人を労働力としてではなく社会の担い手として捉え、入管庁だけではなく、産業界や地域づくりを担う人々も交えて全体で議論する必要があるとして全員の意見が一致しました。また、これからの日本社会への願いを込めて、外国人に限らずあらゆる人が自由意志をもって選択できる、また人の尊厳が保たれる社会になってほしいといった意見が述べられました。
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