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日本国際交流センター(JCIE)では今般、国際交流基金の助成を受けて、高齢社会課題の対話に向けた日米の協力関係を促進する日米健康長寿交流プログラム(US-Japan Exchange Program on Healthy and Resilient Aging)を実施しました。2023年5月22日から26日にかけて、オハイオ州コロンバス市(州都)の高齢社会対策に関わる関係団体の代表者5名が来日し、東京および神奈川を訪問しました。政府、学術研究機関、自治体、市民団体、民間企業等の高齢化に関わる対策事業・活動を視察するとともに、今後の課題や展望・事業連携等について意見交換し、交流を深める機会となりました。
今回のプログラムの実施概要と参加者は、以下のとおりです。※英語での活動レポートはこちら。
東京では、初日に厚生労働省老健局の長嶺由衣子氏よりブリーフィングを受け、日本の介護保険制度と地域包括ケア整備の政策について知見を深めました。また、東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)とのラウンドテーブルでは、高齢社会の課題解決に向けたテーマ、具体的には、「フレイル予防」と「高齢者の生きがい」、「まちづくり」、「日本の地域共生」などについて活発な議論を交わしました。
二日目は東京臨海広域防災公園を訪れ、被災地や避難所の様子を再現した展示を見学、体験学習ツアーに参加したほか、奥田博子国立保健医療科学院上席主任研究官より災害時に起こりうる高齢者の健康問題についてブリーフィングを受けました。参加者からは、オハイオ州も竜巻や豪雨による甚大な被害を受けた過去から、災害発生時に高齢者をサポートする体制について、大変参考になったとコメントがありました。次に、株式会社シルバーウッドが運営するサービス付き高齢者向け住宅「銀木犀」を訪問し、施設を見学したほか、同社が開発した「VR認知症」の体験を行い、認知症に関する理解を深めました。
神奈川では、黒岩裕治神奈川県知事を表敬訪問し、健康寿命を伸ばし、元気で長生きできる社会を目指す「ヘルスケア・ニューフロンティア」の取り組みについて説明を受けました。また、県庁の協力を得て、県営笹山団地にて、高齢化が深刻に進む地域を活性化させる住民の取り組みを視察したほか、藤沢市や三浦市など県内の自治体にも訪問しました。
藤沢市では湘南ロボケアセンターで最新の生活支援ロボットを見学し、また、市役所では株式会社Helteと共同で実施するオンラインのコミュニケーションサービス「Sail」について説明を受けました。同サービスは、コロナ禍でコミュニティ活動が制限された中、高齢者と日本語を学びたい海外の人々をオンライン上でつなげ、交流を促すことで高齢者の精神的孤立を防いだケースであり、その運用やインパクトについて、参加者からは積極的に質問があがりました。また、三浦市では市内の高齢者が地域の魅力発信を担うことで社会参加できる活動を見学し、「市民としての誇り・郷土愛に感銘を受けた」と参加者からのコメントがありました。
最終日は、秋山弘子東京大学名誉教授の協力を得て、産官学民の共創で地域の課題解決を目指す鎌倉リビングラボについてブリーフィングを受け、地元町内会やNPO法人の活動を見学しました。さらに、町内の認知症対応型デイサービス施設を訪れ、利用者の方々と短時間交流し、「住み慣れた地域で暮らし続けられるためのケアを実践する事業所の姿に感動した」などの感想が寄せられました。
マリサ・シェルドン オハイオ州立大学社会福祉学部エイジフレンドリーイノベーションセンター所長
ホリー・ダベルコ・ショーニー オハイオ州立大学社会福祉学部エイジフレンドリーイノベーションセンター 研究部長
ケイティー・ホワイト 中部オハイオ地域高齢者支援機関(COAAA)代表
ローデス・バロッソ・デ・パディーヤ コロンバス市議会議員
マット・マーティン コロンバス財団コミュニティアウトリーチ担当ディレクター
写真で見る!「黒岩日記」2023年5月24日 米国オハイオ州立大学エイジフレンドリー・イノベーションセンター・シェルダン所長の知事表敬訪問
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