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第10回麻布グローバル・サロン 「トランプ大統領を生んだアメリカの行方」

会員向け事業・麻布グローバルサロンの記念すべき第10回目として、4月にJCIEのシニア・フェローに就任したジェラルド・カーティス(コロンビア大学名誉教授)による講演「トランプ大統領を生んだアメリカの行方」を4月26日に東京の国際文化会館にて開催しました。トランプ政権が生まれた背景、就任100日目を迎える現状、今後の行方、という過去・現在・未来の3つの観点から、JCIE理事長大河原との対談方式で講演が行われ、その後、参加者との間で今後の日米関係や国際情勢について活発な質疑応答が行われました。

講演の概要は以下のとおりです。

トランプ政権が生まれた背景
なぜトランプ氏のような人物が大統領になれたのでしょうか。これは、なぜヒラリー・クリントン(民主党)が負けたのかという疑問にもつながります。  

民主党が敗北した理由
クリントン氏は自らが落選した理由について、メール問題、ロシアによるハッキング事件、女性リーダーへの社会からの抵抗を挙げていますが、それらがなければ圧勝できたというわけではありません。黒人差別を乗り越えたオバマ氏のような人物もいたことを踏まえると、クリントン氏の政治家としての資質に問題があったと言えます。また、かつて貧困層が民主党の支持者でありましたが、今は大金持ちの支持者が増えています。加えて、民主党がLGBTなど少数派のアイデンティティ問題を過剰に訴えかけたがために、多数派である白人のアイデンティティはどうするのかという問題も出てきました。民主党は、貧困層や白人労働者等が求めることに対応できなかったことにより選挙を制することができませんでした。
 
トランプ大統領が当選した4つの理由
1つ目の理由は、30年以上前から広がるアメリカ社会における格差です。これは先進国の中で最も大きくなっています。
2つ目は、グローバライゼーションに対しての反発です。資本は国境を越えて自由に移動できるのに対して、労働者はそうはいきません。トランプ氏は、このようなグローバライゼーションにより影響を受けている層の怒りと恐怖感を煽ったのです。
そして3つ目は、人口構造の変化です。2045年には、白人が米国総人口の過半数を割り、3人に1人はヒスパニック系になります。ヒスパニック系の移民はこれまでアメリカの活力にもなってきましたが、移民流入の被害を受けてきた層は今回トランプに票を投じました。
4つ目は、フランスの大統領選挙でのルペン氏の健闘に象徴されるように。世界的な反エスタブリッシュメント的風潮であります。

現在のアメリカ社会は非常に分断しています。即ち、トランプ支持者とそうでない人の共通の価値観がなくなっています。これをどうまとめていくかが大切ですが、トランプはまとめ役にはなれないと推測されます。また、トランプ現象の背景には、アメリカの社会的変化やグローバライゼーションに対する不安感があると言えます。しかし、その流れは、今後トランプ政権が失脚してもそうでなくとも変わらないはずです。

トランプ政権の現状
トランプ政権発足から3か月たった今日、政権はますます混乱状態にあります。暫定予算が成立せず、可能性は低いですが政府閉鎖も懸念されています。また、現在は共和党が上院・下院の多数を占めていますが、今までに通った法案は一つもありません。これは共和党内での分裂が激しいためです。現にそれが要因となり、トランプ氏が過去2度にわたり挑戦したオバマケアの差し替えは失敗に終わっています。
だからといって、民主党と協力できるかというとそうはなりにくいと考えます。今日まで、「大統領令」として移民入国規制などの策がとられ、これからも金融規制の緩和、環境規制緩和などの措置が取られると思われますが、トランプ氏の政策には、戦略というものが見えません。また、トランプ氏は「ハッタリ」で有名ですが、北朝鮮問題をはじめ、国際政治でハッタリを使うことは非常に危険なことであることを認識すべきです。しかし、ポピュリストは、政策を実現しなくてもしばらくは支持を失わないということはよくあることで、このままいけば再選することも有りうるだろうと思います。



今後のアメリカ
二大政党制が続くと思われます。第三政党が出てくれば良いが、アメリカの選挙の仕組みの中で第三政党を作るのは不可能に近いです。トランプ政権下で、今後の民主党はより左に傾き、共和党も右のポピュリズムの色が濃くなるはずです。その中間が現れるのか、今のところ見えません。今後民主党の16人の知事の中から出てくる可能性もあります。敢えて名前を挙げるとすれば、現在のニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモ氏などに期待がかかります。

日米関係について
安倍首相は、トランプ氏と馬が合うと言われていますが、それは本当だと思います。トランプ氏就任後、アメリカで面会した際も、トランプ大統領を上手く立てながら話していたと感じます。日本人もまた、日本の首相にとっての最大の責務は、誰が米大統領であっても、その人と良い関係を保つことであることをよく理解しています。これは、日本は西欧の先進諸国と異なり、周辺に非民主主義国や、歴史的問題を抱える国に囲まれていることが一つの理由になっているからです。しかし、日本人は、現状でアメリカの大統領とうまくやっていけているからと言って安堵してはなりません。今後何が求められるかが不透明だからです。例えば、トランプ氏は通商問題で非常に厳しい態度をとっています。このままトランプ氏がハッタリを続けると、朝鮮戦争が起きる危険性もあると思われます。「戦略がないアメリカと良い関係を保つのが日本の戦略」となって良いのでしょうか。二国間だけでなく、周辺国との関係も考えていく必要があります。

質疑応答
質問(抜粋)
ー今、先進民主主義国で高まっているポピュリズムの流れは、いつまで続くのでしょうか。どうやったらまともな民主主義国にもどるのでしょうか?

カーティス氏
ーこの問題を解決する魔法の杖はありません。今、アメリカで大きな問題となっているのは、グローバライゼーションによって企業が儲かり、開発途上国の経済が良くなるのに対し、一般の人たちの生活水準が上がらないということであります。また、一定のスキルを持っていない労働者は、一度仕事を奪われると再就職は難しくなってしまいます。アメリカの低成長時代はしばらく続くだろうと思います。格差をどう解消するかを社会問題として取り組まないといけません。

フランス大統領選挙の第一回投票の結果を受けて、ポピュリズムがピークに達したという新聞記事を最近目にしますが、そうは言えないと思います。トランプ政権が失敗するなどして、ポピュリズムがうまくいかないことがわかれば流れが少し変わるかもしれない。政治家の意識も大事です。 今まで、協調的な国際秩序を維持してきたのはアメリカでした。しかし、もうその時代は終わりを迎えました。今までの国際秩序は既に崩れかけていましたが、トランプ政権が誕生してそれはさらに加速されました。トランプは「アメリカファースト」を掲げていますが、それは、他国が弱くなることを意味します。しかし、中国が弱くなるとは考えられず、実現は困難だと思います。今後は、どう新しい秩序を作っていくかが重要になります。

ジェラルド・カーティス プロフィール
コロンビア大学名誉教授、日本国際交流センターシニア・フェロー
日本の政治外交、日米関係、米国のアジア政策等を半世紀近くにわたり研究。日本の選挙についての研究で1968年にロンビア大学より博士号取得。1976年にコロンビア大学政治学部教授に就任。その後、同大学東アジア研究所所長等を務める。東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、政策研究大学院大学等で客員教授を歴任。自民党政治の構造を分析した『日本型政治の本質』で大平正芳記念賞を受賞。その後、中日新聞特別功労賞、国際交流基金賞、旭日重光賞を受賞。日本のメディアにも幅広く寄稿。『政治と秋刀魚』『日本政治をどう見るか』,『日米中トライアングル』などの著書多数。現在、日本国際交流センター及び米国法人日本国際交流センター双方の理事並びに日本国際交流センターシニア・フェローを務める。

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