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日本国際交流センター(JCIE)は2025年6月14日、「外国ルーツ青少年の自立をささえる進路・キャリア支援事業」(以下、キャリア支援事業)の一環として、横浜市国際学生会館にて、第5回目の全体会議を開催しました。会議には、当該事業採択団体から4団体と関係者を含む23名が参加し、活動の場である地域に焦点をあて、そこでのインパクト創出について議論しました。
会議の前半では、「神奈川県における外国ルーツの若者の進路保障をめぐる地域へのインパクト」をテーマに、多文化共生教育ネットワーク神奈川(Me-net)による発題がありました。1990年代から外国ルーツ青少年の進路保障に向けて神奈川県の基金を活用した支援活動や、学校や地域の団体による個別ニーズへの対応が行われ、それが支援者のネットワークの拡大や、外国にルーツを持つ子どもが進学できる特別枠の増加、県内高校への多文化教育コーディネータの派遣制度の活用といったインパクトを創り出してきたことが説明されました。また、地域で支援体制が構築され、外国ルーツの若者が経験する困難な状況を乗り越えて成功したという「サクセスストーリー」が生まれていく中で、果たしてこの事例を目指すことだけが正解なのか、失敗してもいいから自分らしい生き方を模索するという自由な発想をもてる社会が大切ではないかという問いが投げかけられました。
Me-netからの発題に続いて、各団体から事業を通じた「対象地域へのインパクト戦略」や「ステークホルダーの変化状況」が報告されました。あわせて、こうした成果や目指す方向性を共有するための「共通指標としてのフレーズ」についても検討が行われました。発題と各団体の報告を踏まえたグループディスカッションでは、活動地域での「インパクト創出」状況を整理し、従来の支援方法とは異なる「外国ルーツの若者のキャリア形成」についてアイデアを出し合うとともに、関係者との対話、協働を通じて目指す姿・ゴールを表現するための「共通フレーズ」を模索しました。最後の振り返りの時間では、「なぜ失敗できない社会なのか」という問題提起や、「夢を応援できる社会」、「人を信頼してチャンスを与える社会」、「人との出会い直しや人脈の広がり」など、“現場の知恵”と“実現したい社会の将来像”が結びついた、支援における理想の形が共有されました。
また会議終了後には、フィールドワークをおこない、国際学生会館~JR浅野駅間を散策しながら南米と沖縄に縁のある地を巡りました。
なお、前日の6月13日に実施した公開シンポジウム「外国ルーツの若者を未来の担い手に育てる~地域と当事者の想いから考える~」の活動報告は別途こちらに掲載しています。公開シンポジウム「外国ルーツの若者を未来の担い手に育てる」
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