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日本国際交流センター(JCIE)は、2025年7月10日、休眠預金事業「アウトリーチ手法による外国ルーツ住民の自立支援事業―困窮からの抜け出しを支える体制づくり」の一環として、参加団体の相互連携を促進し学び合いを深めるため、第6回目となる連携会議を名古屋で実施しました。また、地元で長年活動するわっぱの会の協力を得て、フィールドワークを実施しました。
なお、前日の7月9日に実施した公開シンポジウム「For Refugees, With Refugeesー地域と難民、そして私たち」の活動報告は別途こちらに掲載しています。
今回の会議は、本事業が最終年度であることを踏まえ、事業終了後を見据えた中長期的なインパクトについて各団体で共有することを目的に実施しました。
前半では、各団体が事業終了後に地域社会や行政など組織外へのインパクトをどのように持続させていくか、また組織内において事業の成果や取り組みをどのように継続・内在化させていくかについて、今後の方針を発表しました。
後半では、事業当初に想定していた規模での事業展開がどこまで実現できているかを振り返るとともに、活動を通じて見えてきた課題や、今後の展望についてグループディスカッションを行いました。
本会議を通じて、各団体に共通して見られた成果のひとつは、地域社会や行政との関係構築が進展したことです。また、事業が一過性の取り組みにとどまらず、自団体の今後の活動や地域社会における役割を再考する契機となっている点も、多くの団体で共通して確認されました。
また、今後の持続的な支援の実現に向けては、他団体との連携や役割分担を通じた補完関係の構築が重要であるという共通認識が得られました。
フィールドワークでは、名古屋市北区(大曽根住宅1階)にある、地域住民の交流や支援を目的とする地域総合交流拠点「そーねOZONE」を訪問しました。そーねOZONEは、NPO法人わっぱの会によって設立・運営され、当日は代表の斎藤縣三氏から施設の紹介や団体の活動など幅広くお話を伺いました。
わっぱの会は、1971年から長年にわたり、障がい者の就労や生活・自立支援を中心に活動しており、近年は障がい者だけではなく、生活困窮に陥りやすい低所得者、高齢者、被災者、子育て世帯、そして外国人へも雇用や居住等の支援を展開しています。
また、ゲスト参加いただいた、フィリピン人移住センター代表のバージ石原氏からは、東海地域に比較的多く暮らす、フィリピン人女性やその子どもへの支援の特徴の移り変わりについての説明がありました。1990年代から取り組む、町内の清掃活動や地域のお祭りなどへの参加を通して、地域住民と少しずつ心を通わせることができたというエピソードをもとに、周りの人や地域社会から理解を得るために、外国人住民側も日本社会に歩み寄る姿勢を示すことが重要であることが訴えられました。
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