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2025年5月、日本の国会において、自由・人権・法の支配・民主主義といった普遍的価値の共有をインド太平洋地域で推進することを目的とした「インド太平洋における普遍的価値の共有を推進する超党派議員連盟(以下、普遍的価値議連)」が設立されました(設立総会の様子はこちら)。同議連は、権威主義の世界的な拡大に対し、インド太平洋地域内における普遍的価値に基づくガバナンスを強化するための対話や連携を促進する場として期待されています。
2025年11月18日、日本国際交流センター(JCIE)民主主義の未来プロジェクトでは、同議連との共催のもと、フランシス・フクヤマ教授*との懇談会を開催しました。当日は、中谷元衆議院議員・普遍的価値議連会長、桜井周衆議院議員・普遍的価値議連事務局長をはじめ、普遍的価値議連のメンバーを含む15名の超党派国会議員が参加し、約1時間にわたり活発な意見交換が行われました。
懇談会では、近年の民主的ガバナンスの後退や、先進民主主義国でのポピュリスト指導者の台頭、さらには、そうした状況下で日本が果たし得る役割について議論され、以下の点が共有されました。
*フランシス・フクヤマ: スタンフォード大学フリーマン・スポグリ国際研究所(FSI)シニア・フェロー。『歴史の終わり』(1992年)や『リベラリズムへの不満』(2022年)など、国際政治やアイデンティティ、リベラリズムに関する重要な著作を発表。
1.今後数年間、米国が民主主義陣営のリーダーシップを十分に発揮できない状況が続く可能性があるとの指摘があり、民主主義国自身が、法の支配に基づく国際秩序を強化し再構築する必要性が示されました。そのためには、民主主義国間の協力と連携の深化が不可欠であるとの認識が共有されました。
2.NATOのような大規模なアジアの安全保障同盟の形成は難しいものの、確実なコミュニケーション・チャンネルの構築は現実的かつ重要な目標であるとされました。日本は地域の民主主義国間の非公式協力を主導すべきであり、特に日韓協力の重要性が指摘されました。
3.国家規模の大小を問わず、法の支配を遵守する国々は、リベラルな民主主義国として相互に支え合うべきだと強調されました。日本においても、米国のNED(National Endowment for Democracy)のように世界の民主的ガバナンスを支援する組織を設置し、権威主義体制によって抑圧される個人を支援したり、法の支配遵守を支援したりすることは、非常に有益であるとされました。
4.民主的ガバナンスの後退の背景には、権威主義国など外部の影響だけでなく、民主主義国自身の内部における法の支配の脆弱化や社会的分断といった課題もあるとの指摘があり、民主主義国内において健全な民主的レジリエンスを高める努力の重要性も共有されました。
冷戦終結により共産主義は自壊し、勝利した自由と民主主義が世界に拡散していくと信じられていました。ベルリンの壁崩壊から30年が経った今、世界各地では権威主義的統治手法が拡大し、先進民主国でさえポピュリズムの台頭でぐらつき始めています。今日の世界において、民主主義は顕著に後退していると言っても過言ではありません。
こうした問題意識を踏まえ、JCIEは、国際秩序と普遍的価値が現在どのような脅威にさらされているのかを理解し、日本としてどのような政策を展開できるのか検討する研究プロジェクト「民主主義の未来 -私たちの役割、日本の役割」を2018年に開始しました。
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