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サイドイベント「健康で活力ある高齢化への道筋ーイノベーションよる課題解決」

(左より)林 玲子 国立社会保障・人口問題研究所国際関係部 部長、サカーン・ブンナック タイ保健省医療サービス局老年学研究所 所長、ピーター・モリソン ヘルプ・エイジ・インターナショナル アジア地域アドバイザー、森 臨太郎 UNFPA アジア地域アドバイザー、小林 正典 トリプルダブリュー株式会社 ジェネラル・マネージャー [写真:ESCAP/Michael Linennen]

タイのバンコクで開催された「アジア太平洋地域人口と開発に関する閣僚宣言」中間レビュー会合(共催:アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)、国連人口基金(UNFPA))の機会を捉え、日本国際交流センター(JCIE)は内閣官房 健康・医療戦略室、外務省、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)、UNFPA、ヘルプ・エイジ・インターナショナルとの共催で、公式サイドイベント「A Multistakeholder Approach to Healthy and Active Aging: Accelerating Responses to Challenges through Innovation」(健康で活力ある高齢化への道筋:イノベーションによる課題解決)を2018年11月27日に開催しました。

本サイドイベントは高齢化に関わる様々なステークホルダーの役割や見識について、アジアの中でも高齢化の進むタイ及び日本の知見や経験を共有し、今後の高齢化の課題克服と健康長寿社会実現のための官民連携、特に先進的なイノベーションや技術の活用をふくむ国境を超えたマルチセクター協力について話し合うことを目的として開催したものです。

一時間という限られた時間のサイドイベントでしたが、質疑応答では約70名の参加者から、貧困に苦しむ高齢者や認知症への取り組みなど、人口高齢化に伴い拡大する課題への対策について質問が出され、日本とタイで実施している対応策について情報共有がなされました。質疑応答終了後も、参加者とパネリストとの間で人口高齢化への対策について議論が交わされ、アジア各国が人口高齢化に対して大きな課題意識を共有していることが明確となったサイドイベントでした。

会議の概要とプログラムは以下をご覧ください。

開会挨拶

ESCAP常駐代表である川村博司 在タイ国日本大使館次席公使はサイドイベントの開会挨拶で、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成し、健康長寿社会と持続可能な経済成長を実現する上で、アジア地域における急速な人口高齢化が大きな課題であると提起し、その上で日本政府が高齢化先進国としての過去の経験を活かしつつ、アジア各国と共働して健康長寿社会を実現していくことを目的に発表した「アジア健康構想」について紹介した。また官民連携、特に先進的なイノベーションを含む国境を超えた協力が人口高齢化における課題の克服、健康長寿社会の実現には必要不可欠であり、この機会が人口高齢化というチャレンジに向けて、国境を超えた様々なステークホルダーの協力への具体的なステップにつながることへの期待を語った。

パネルディスカッション

林 玲子 氏からアジアの高齢化についての情報共有 [写真:ESCAP/Michael Linennen]

林玲子 国立社会保障・人口問題研究所国際関係部長は、人口高齢化により生じる課題として「要介護者数の増加」「独居高齢者の増加」「介護人材の不足」の3点について強調した。特に介護人材の不足については、住み込みのメイドを雇用する文化であった東南アジア諸国において、メイドになる人材の不足や若い女性の雇用機会の増加により、介護を担う人材がいないまま人口高齢化が進展するという課題の重大性を提起した。

サカーン・ブンナック タイ保健省医療サービス局老年学研究所長は、シンガポールに次いで東南アジアで2番目に高齢化率の高いタイにおける人口高齢化の現状と課題、その対策について説明した。タイは中所得国であり多くの国民がテクニカル・イノベーション(技術革新)の恩恵を享受できない状況の中で、タイ政府としてコミュニティにある既存の資源を活用したイノベーションを引き起こして、高齢者のアクティブ・エイジングを推進していくための取り組みや計画を紹介した。

ヘルプ・エイジ・インターナショナルのピーター・モリソン アジア地域プログラム・アドバイザーは、テクニカル・イノベーション(技術革新)の必要性を踏まえつつ、高齢者のヘルシー・エイジング、アクティブ・エイジングを支える上でソーシャル・イノベーションの重要性を主張した。また、例えばタイ国内には30000もの高齢者グループが存在し、高齢者がコミュニティにおいて健康で活動的に過ごすための重要な社会資源となっているように、東南アジア諸国のコミュニティにはソーシャル・イノベーションを引き起こせる社会資源が多く存在していることを述べ、コミュニティへの投資の必要性を提案した。

森臨太郎 UNFPAアジア地域アドバイザー(人口高齢化および持続可能な開発)は、人口の高齢化は人類にとって大きな進歩であるとしつつ、人口高齢化に対応するためには社会のあり方を変える必要があり、そのためにイノベーションが必要とされていると指摘した。高齢化に対応するためにUNFPAが取り組むこととして、第1に、正確な人口統計データにより人口動態を理解した上での政策形成、第2に個人(男女双方)の人権やニーズの尊重をあげ、UNFPAはこの分野における財政・社会・保健政策の推進のため、カタリティック(触媒的)な役割を果たしていきたいと述べた。また第3に、人口高齢化の解決策としての「ライフ・サイクル・アプローチ」をあげ、高齢者の孤立化の防止、ジェンダー平等による出生率の向上、将来高齢者となる若い世代のため性と生殖に関する健康への投資の重要性を提起した。

世界で初めて、排泄タイミングを予測する機器を開発したトリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社の小林正典 ジェネラル・マネージャーは、介護場面における排泄ケアの負担は、本人と介護者の両者にとって負担が大きく、その課題の重大性を日本での事例を交えて共有した。人口高齢化によりアジア諸国でも排泄ケアへの課題・ニーズが生じることが予測されるため、人口高齢化が進展する前の段階で排泄ケアへの取り組みを始める必要性を強調するとともに、トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社が開発した排尿予測デバイス「DFree」をテクニカル・イノベーション(技術革新)による解決策の一つとして紹介した。

小林 正典 氏から排尿予測デバイス「DFree」の紹介 [写真:ESCAP/Michael Linennen]

閉会挨拶

ローラ・ロンデン UNFPA 事務局次長 [写真:ESCAP/Michael Linennen]

閉会にあたりローラ・ロンデン UNFPA 事務局次長は、UNFPAにとって人口高齢化は健康に対する「ライフ・サイクル・アプローチ」の一部であることを改めて紹介し、人々の変わりゆくニーズに対応するのは政府、市民社会、国際機関、民間企業であり、それらの分野を超えた取り組みが必要であることと指摘。またUNFPAとして、人口高齢化により生じる高齢者の貧困問題の女性化に対応する必要性についても訴えた。特にアジア太平洋地域での高齢化問題に対して、UNFPAは各国政府への支援を継続したいきたいと結んだ。

カヴェ・ザヒディ ESCAP事務局次長は、アジアにおける人口高齢化が社会発展の成果であることを共有したうえで、しかしながら「高齢化社会」から「高齢社会」、あるいは「超高齢社会」への移行期間が短くなっていることを改めて問題提起し、日本を含む高齢化先進国から学ぶ必要性を強調した。またテクニカル・イノベーション(技術革新)を取り入れながら、「誰一人取り残さない」ことを理念に持続可能な開発に取り組んでいかなければならないことを訴えた。

文責:日本国際交流センター

プログラム

公式プログラム(英文)はこちらをご覧ください。(サイドイベント趣旨、アジェンダ、略歴)

開会挨拶
 川村 博司 在タイ国日本大使館 次席公使、ESCAP常駐代表
パネルディスカッション
 林 玲子 国立社会保障・人口問題研究所国際関係部 部長
 Sakarn Bunnag タイ保健省医療サービス局老年学研究所 所長
 Peter Morrison ヘルプ・エイジ・インターナショナル アジア地域プログラム・アドバイザー
 森 臨太郎 UNFPA アジア地域アドバイザー(人口高齢化および持続可能な開発)
 小林 正典 トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社 ジェネラル・マネージャー
閉会挨拶
 Laura Londén UNFPA 事務局次長
 Kaveh Zahedi ESCAP 事務局次長
モデレーター  
 駒澤 大佐 ERIA 総長特別補佐
 西田 良子 JCIE シニア・アソシエート

報告書

公式報告書(英文)はこちらをご覧ください。

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