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アジアにおいてユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成を後押しすべく、日本国際交流センター(JCIE)が幹事・事務局を務める「グローバルヘルスと人間の安全保障」運営委員会のもとに、2018年12月、産学官の代表者で構成される「アジア医薬品・医療機器規制調和推進タスクフォース」を設置し、アジアにおける医薬品・医療機器等へのアクセス向上に向けた規制調和のあり方等を検討しています。感染症領域 及び がんを中心とする非感染性疾患領域における規制調和や臨床試験推進体制のあり方などについて提言を取りまとめ、そのフォローアップ活動をしています。
政府が取りまとめた「アジア医薬品・医療機器規制調和グランドデザイン」では、アジア域内の規制調和推進を通じて垣根のない医薬品・医療機器等のマーケットを整備することで医薬品・医療機器等へのアクセス向上を目指すのに加え、アジア諸国のニーズに基づく治験・臨床研究体制の整備を進めることで、アジア諸国における医薬品アクセス向上、さらには同国における医薬品・医療機器等の市販後の適正使用も後押しすることを目指しています。
本タスクフォースでは、同グランドデザインの具体化を後押しすることを目的に、関係組織の取り組み状況を確認すると共に、治験体制・臨床研究体制の整備については、感染症並びに非感染症に関するワーキンググループを組織し、両疾病領域ごとに今後取り組むべき具体的な事項を検討し、以下の提言を取りまとめました。
「UHC推進の観点からのアジア医薬品・医療機器規制調和グランドデザイン」(和文 | 英文)
本報告書では、グランドデザインにおいて示された規制調和の推進と臨床開発体制の整備について、今後日本が取り組むべき具体的事項を取りまとめました。臨床開発体制については、産業界のニーズが高く、国際共同医師主導治験の実績もあるがん領域と、アジアにおいて依然疾病負荷の高い感染症領域をモデルケースとして取り上げています。今後、高齢化が進むアジア諸国においては疾病構造の変化により、がんや循環器疾患、認知症などといった非感染疾病の増加が想定されます。感染症領域では、今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大のように不顕性感染を含む新興感染症への対応の重要性も改めて認識されました。地域内の規制調和と臨床開発体制の整備を通じ各国の保健サービスと医薬品・ワクチンへのアクセスを向上させることは、アジア諸国におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に資するものであり、ひいてはアジア諸国の国民の健康増進が進展することが期待されます。
なお、本提言を踏まえ、自由民主党でも「『アジア医薬品・医療機器規制調和推進に向けた提言』実行戦略~ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ推進の観点から~」が取りまとめられ、5月19日に党の正式な提言として了承されました。
同報告書における提言内容は、2020年7月14日、「アジア医薬品・医療機器規制調和グランドデザイン」実行戦略として、安部晋三内閣総理大臣を本部長として開催された第30回健康・医療戦略推進本部において決定された戦略に盛り込まれました。
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