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公開シンポジウム 「インド太平洋の普遍的価値の擁護」 – G7・日本の役割-

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日本国際交流センター(JCIE)は、2023年3月28日(火)に、公開シンポジウム「インド太平洋の普遍的価値の擁護-G7・日本の役割」を衆議院第一議員会館 国際会議室にて開催しました。本シンポジウムは、2022年8月に小田原市で開催した第2回サニーランズ イニシアティブ リトリートにおいて合意された「小田原ステートメント」に基づき、今年の広島G7 サミットに向けて、インド太平洋の普遍的価値の擁護における日本の役割について議論を深めることを目的に、多数の国会議員を始め、在京大使館関係者、市民社会の代表者を含む60人以上の対面参加者とYoutube配信の参加者によって実施しました。

同シンポジウムでの議論を受けてまとめられた以下の提言は、4月3日に岸田文雄内閣総理大臣に提出されました。


シンポジウムで討議された内容は以下の通りです。

冒頭、大河原昭夫・日本国際交流センター理事長による開会の辞を受け、中谷元・国際人権問題担当首相補佐官とラーム・エマニュエル駐日米国大使から基調発言をいただきました。

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中谷元 首相補佐官からは、今年は日本がG7議長国、インドがG20議長国、米国がAPECの議長国を務め、まさにインド太平洋地域が世界の国際秩序を主導し、けん引する年であることを見据え、日本として、国際秩序の根本規範である「人権」の普遍性を尊重し、深刻な人権侵害に対してはしっかり声を上げる一方、各国の歴史的な経緯や個別の事情を尊重し、二国間対話を通じたアプローチの重要性について説明がありました。また、対話のチャンネルを維持するためにも、今回の「サニーランズ・イニシアティブ」といういわゆる「1.5トラック」の形成の意義についても触れて頂きました。

ラーム・エマニュエル駐日米国大使からは、「自由」、「法の支配」、「個人の人権の尊重」の三つの大事な原則を提示いただき、これらの原則は後退もしていないし、危機に瀕しているわけでもない、われわれ民主主義国は民主的プロセスによってこれらの原則を尊重し堅持出来ていることに対して自信を持つべきだ、そうすることで国際社会に賛同の輪が広がっていくと激励がありました。また、日本はインド太平洋地域の中で最も成熟した政治と外交力を有している国であり、なにより各国から友好国として信頼されていることを梃に、日本の役割を見出してほしいと述べられました。

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基調発言の後、高須幸雄・JCIE 民主主義の未来プロジェクト主査から、小田原会合に基づく以下の3提言の進展状況について説明がありました

  • 国家安全保障戦略、開発協力大綱の改訂で、普遍的価値と民主化支援の優先順位を高める。
  • 普遍的価値を擁護する市民社会組織・メディアへの支援を強化し、政府間の要請ベースによる協力を補完する新たな資金メカニズムを検討する。そのため、日本の市民社会による「普遍的価値に関するインド太平洋プラットフォーム」を開始した。
  • 2023年G7サミット拡大首脳会合において、普遍的価値の擁護に関するメッセージの発出を検討する。

(PDF日本語/English参照)

(パネルディスカッション)
その後、高須氏をモデレーターに、市民社会、法曹界、学会、ビジネスの各分野の代表者がインド太平洋地域における民主的価値観、人権、ルールに基づく国際秩序に対する脅威について共有し、それらの保護における日本政府及びG7の役割や期待について議論しました。

パネリスト:
若林秀樹・Think Lobby所長、国際協力NGOセンター(JANIC)理事
(発言資料日本語/English)
矢吹公敏・日本弁護士連合会国際交流委員会委員、矢吹法律事務所パートナー
(発言資料日本語/English)
市原麻衣子・一橋大学大学院法学研究科教授
銭谷美幸・三菱UFJフィナンシャル・グループ、グループ・チーフ・サステナビリティ・オフィサー兼三菱UFJ銀行チーフ・サステナビリティ・オフィサー

(2023年G7サミット拡大首脳会合への提言)
最後に、高須氏から、広島G7サミット拡大首脳会議では、以下の諸原則を再確認し、具体的支援策を検討するよう提言したいと説明し異議なく了承され、シンポジウムを閉会しました。

  • 世界平和にとって死活的に重要な「法の支配に基づく国際秩序」を堅持する
  • 同時に、各国内で自由や法の支配など普遍的価値を擁護する
  • 表現や言論の自由を保護し、メディアの自由・独立を確保する
  • 自由で活力のある市民社会スペースを保護する
  • 市民社会活動の自由・独立・多様性の保護にコミットする
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アジェンダ

開会の辞 大河原 昭夫 (公財)日本国際交流センター(JCIE)理事長

第一部

基調発言
中谷 元 内閣総理大臣補佐官(国際人権問題担当)
ラーム・エマニュエル 駐日米国大使

イニシャル・リマークス:目的及びプロジェクトフレームワーク
高須幸雄 JCIE民主主義の未来プロジェクト主査

コメント 出席国会議員より

第二部

パネルディスカッション
問題提起/モデレーター: 高須 幸雄 JCIE民主主義の未来プロジェクト主査
パネリスト:
若林 秀樹 Think Lobby所長、国際協力NGOセンター(JANIC)理事
矢吹 公敏 日本弁護士連合会国際交流委員会委員、矢吹法律事務所パートナー
市原 麻衣子 一橋大学大学院法学研究科教授
銭谷 美幸 株式会社 三菱UFJフィナンシャル・グループ、グループ・チーフ・サステナビリティ・オフィサー 兼 株式会社 三菱UFJ銀行チーフ・サステナビリティ・オフィサー

コメント-質疑応答

閉会の辞

高須幸雄JCIE民主主義の未来プロジェクト主査

民主主義の未来プロジェクトの概要

冷戦終結により共産主義は自壊し、勝利した自由と民主主義が世界に拡散していくと信じられていました。ベルリンの壁崩壊から30年が経った今、世界各地では権威主義的統治手法が拡大し、先進民主国でさえポピュリズムの台頭でぐらつき始めています。今日の世界において、民主主義は顕著に後退していると言っても過言ではありません。
こうした問題意識を踏まえ、JCIEは、国際秩序と普遍的価値が現在どのような脅威にさらされているのかを理解し、日本としてどのような政策を展開できるのか検討する研究プロジェクト「民主主義の未来 -私たちの役割、日本の役割」を2018年に開始しました。
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