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日本国際交流センター(JCIE)は、2024年3月7日(木)に、「アウトリーチ手法による外国ルーツ住民の自立支援事業―困窮からの抜け出しを支える体制づくり」(以下、アウトリーチ事業)の一環として、2回目となる連携会議(旧:ネットワーク会議)を東京にて開催し、関係者26名が参加しました。
近年、外国ルーツ住民からの相談がますます多様化・複合化していることを受けて、今回の会議は「『相談』どうしていますか?どうしますか?―相談支援の着地点を考える―」をテーマに、個人や家族などの個別相談対応を行う「ケースワーク」とともに、集団や地域を対象とする「ソーシャルワーク」、社会全体に働きかけ政策や制度の改正に繋がる「フレームワーク」など、ミクロ・メゾ・マクロレベルの多層的な課題の整理、仕組みづくりを踏まえた成果(アウトカム)を明確にすることを目的に実施しました。
第1部では、6つの助成先団体のうち2団体から、相談体制づくりと、個別相談への向き合い方という2つの異なる観点から報告いただきました。
はじめに、大阪市生野区に拠点を置くIKUNO・多文化ふらっとの水原修平氏より、本事業で新たに取り組む、多言語相談センターの開設を中心に、地域の構造的課題の改善に向けた仕組みづくりとしての相談センターの位置づけや、開設に向けた準備、センターの運営方針、中長期的な目標が共有されました。
続いて、日本国際社会事業団(ISSJ)の石川美絵子氏からは、ソーシャルワークの視点から、外国人相談支援の特徴や相談を受けてからの流れ、アセスメントに必要な情報をいかに整理しつつ相談者のニーズ・希望にどう対応するか、といった方法論の他、事例を交えながら他/多機関との連携方法が紹介されました。
第2部では、国際活動市民中心(CINGA)の新居みどり氏より、課題解決に向けた仕組みづくりとして、多くの相談ケースをソーシャルワーク、フレームワークとして位置づけ直すことを試みている、CINGAの取り組みについて報告いただきました。新居氏は、外国人ワンストップ相談センターなどに日々寄せられる膨大な相談案件に対して、専門家や少数言語通訳といった自主事業とも関連付けながら対応を行うだけでなく、課題の構造を俯瞰し、必要な支援の仕組みを作るプロセスについて、事例を交えながら説明しました。
その後、参加者はグループに分かれて、個別の相談案件の解決に向けた着地点の設定の在り方や、外国ルーツ住民への支援やプログラムがもたらしうる成果の具体化と見える化(可視化)の方法、3年間の事業にて達成したい着地点とその後の継続の戦略などについて議論しました。
最後に、本事業の外部評価アドバイザーである日本社会事業大学講師の新藤健太氏より、在留資格や日本語能力、就労状況など外国ルーツ住民がおかれている状況によって、課題の改善・解決への道筋やスピードが大いに影響される外国ルーツ住民からの相談について、相談支援の効果(アウトカム)をどのように評価すべきかを、対象者の変化、環境の変化からとらえていく視点が共有されました。
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