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日本国際交流センター(JCIE)は、2022年2月28日に「外国人緊急人道支援事業」(以下、HAMIS)公開シンポジウム「コロナ禍での支援現場の声を聞くー 危機で試される在留外国人支援」をオンラインにて開催し、全国から110名以上の方にライブでご参加いただきました。
本シンポジウムでは、HAMISの事業説明とともに、HAMISの助成対象団体(8団体)から3つ団体の代表にご登壇いただき、在留外国人に対する支援現場から見えてきた課題と成果、また、今後必要な支援の在り方について議論しました。
最初に、開会の挨拶で、JCIEの毛受敏浩執行理事は、コロナ禍にて日本で少子化が一層加速化する状況が見られる中、With/After コロナを見据えた世界的な人材獲得競争の広がりを受けて、日本が選ばれる国になるためには、コロナ禍で明らかになった在留外国人が抱える課題を直視し、それの解決に向けて進んでいくことが第一歩であると述べました。
続いて、ジャパンプラットフォーム藤原航 地域事業部長からHAMIS事業を通して1年間延べ16,000人以上に支援が届けられたことが報告され、事業を通して見えてきた在留外国人が抱えている課題の全体像について説明がありました。加えて、緊急人道支援・自助能力の向上・支援者の基盤向上という3つの活動軸で行われてきた支援内容と成果について説明を行いました。
その後、3つのHAMISの助成対象団体の代表にご登壇いただき、HAMISを通して各団体が行った支援活動についての説明と、コロナ禍で支援現場から見えてきた在留外国人と支援体制の現状と課題についてご報告いただきました。各団体による報告からは、在留資格により公的支援を受けられない在留外国人に対する支援が、民間ボランティアや市民の善意によって行われている現状に対する制度的な改善の必要性や、日本に暮らす外国人の孤立を防ぎ貧困の悪循環を断ち切るためには日本語でのコミュニケーションスキルの向上が必須であることが強調されました。
後半では、JCIEのシニアプログラムオフィサー李惠珍(イ・ヘジン)のモデレーターにより、在留外国人が平時から抱えている、労働、在留資格、教育などの課題が、コロナによっていかに変容したか、また、在留外国人の自立を促す支援の在り方や困窮状態に陥らないようにするための予防的支援の在り方とは何かについて話し合いました。コロナ禍の在留外国人への影響について、公的支援の狭間を補ってきた同胞間の支援がコロナ禍による経済禍により難しくなり、エスニックコミュニティ内での共助の仕組みが崩れてしまったことや、仮放免や帰国困難者など制度上の制約により高額な医療費が発生するケースなど、コミュニティ・支援者によって保たれていたセーフティネットさえ機能できなくなった現状について述べました。
また、コロナによる帰国困難状況の中、在留資格の制約により就労ができず、生活費、学費等が払えないケースが多くあったことを指摘し、政府による非常時における想定可能な問題とそれに対する素早い対応の重要性が強調されました。自立と予防的支援を意識した今後の支援の在り方については、必要な資源に自らアクセスできる能力を取得できる環境づくりの重要性と、日本社会に暮らす人が多様化していることが、多様な目線に立った制度、支援などとして実現される必要があるとの意見が述べられました。
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