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日本国際交流センター(JCIE)は、2022年2月14日に「外国人材の受入れに関する円卓会議)」(以下、円卓会議)公開シンポジウム「選ばれる国になるための新たな戦略」(オンライン)を開催し、全国から250名以上の方にライブにてご視聴いただきました。
シンポジウムでは、2021年6月に円卓会議が検討し策定した「アフターコロナ時代に向けての外国人受入れ政策のあり方―「選ばれる国」への新提言―」の骨子を提示するとともに円卓会議の各メンバーが「選ばれる国」になるためのあり方を多面的に議論しました。
シンポジウムで討議された内容は以下の通りです。
最初に、開会の挨拶で円卓会議座長の大河原昭夫理事長は、円卓会議のこれまでの活動の経緯を述べ、コロナ禍という新たな状況の変化の中で、円卓会議として新提言が策定された経緯を述べ、外国人の受入れの議論の重要性を強調しました。
続いて、政府代表として佐々木聖子 出入国在留管理庁長官が挨拶を行いました。スピーチでは、政府の在留外国人への直近の政策、コロナ禍での外国人の入国及び在留外国人への新たな対応について述べるとともに、政府内で行われている外国人の受入れのあり方についての議論の紹介とともに、円卓会議の新提言について触れながら、本シンポジウムへの期待を表明しました。
それに続き円卓会議の事務局長を務める毛受敏浩執行理事は、円卓会議で策定した新提言のの骨子の説明を行いました。コロナ禍によって在留外国人のさまざまな課題が浮き彫りになったこと、国際的な人材獲得競争に向けて日本が「選ばれる国」になるために必要な課題とその対応を新提言に沿って説明を行いました。
大河原昭夫 円卓会議座長 佐々木聖子 出入国在留管理庁長官 毛受敏浩 円卓会議事務局長
提言説明後は、三部構成によるパネルディスカッションが行われました。
第一セッションでは「日本企業が選ばれるためにー経済再生と外国人への期待」をテーマとして、是川夕 国立社会保障・人口問題研究所国際関係部長のモデレーターにより、外国人労働者や留学生、企業のあり方などをテーマに活発な議論が行われました。在留外国人に対する国際協力機構(JICA)の新たな取り組みを紹介する問題提起の後、経済の持続性の観点からの外国人受入れの重要性、企業としての外国労働者への期待と具体的な対応、また留学生を地元企業に定着させるための成功例などが話し合われました。
「日本社会が選ばれるために―外国人のライフプラン」をテーマとする第二セッションでは、覧具雄人 日経新聞社会・調査報道ユニット記者がモデレーター役を務め、問題提起をブラジル出身のアンジェロ・イシ 武蔵大学教授が行いました。コロナ禍で明らかになった在留外国人の就業、生活、教育面での諸課題が具体的に語られ、その対応の必要性が強調されました。すでに在留の長期化が進んでいる現実に対して、政策の遅れの指摘とともに早急な対応を求める声が出されました。
第三セッションは モデレーター役を竹田忠 NHK解説委員が務め、「日本が『選ばれる国』になるためにー新たなビジョンと戦略」をテーマに、小川賢太郎 国民生活産業・消費者団体連合会(生団連)会長が問題提起を行いました。このセッションでは日本としての外国人の受入れの政策論を巡り意見を戦わせました。外国人から選ばれる国に早急に変化することが日本の将来につながるとの問題提起のあと、制度論として受入れのあり方、またその実現可能性についての議論とともに、地域社会で外国人の活躍を推進する立場から外国人の受入れについての基本法を求める意見も出されました。さらに今後の技能実習制度の改革のあり方についても意見交換が行われました。
パネル・ディスカッション3「日本が『選ばれる国』になるためにー新たなビジョンと戦略」
シンポジウムの最後では毛受敏浩執行理事が閉会挨拶を行いました。そこでは、本シンポジウムでは、選ばれる国になるための課題の複雑さと深刻さの議論とともに、未来に続く道筋の具体例も紹介されたことが述べられました。そして「選ばれる国」になるためには、紹介された事例をはじめ、草の根の取り組みと政府の方針が車の両輪となることが必要であることを強調しました。加えて、今後、各地域で外国人の受入れを議論する場を広げていきたい旨について述べました。
・問題提起(小川賢太郎 国民生活産業・消費者団体連合会(生団連)会長)
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