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日本国際交流センター(JCIE)とジャパン・プラットフォーム(JPF)は、休眠預金事業「アウトリーチ手法による外国ルーツ住民の自立支援事業」の一環として、2024年6月7日と8日の二日間にわたり、大阪市生野区のいくのパークで「アウトリーチ事業 第3回連携会議」を開催しました。本会議は、助成先団体のネットワークを強化することに加え、助成先団体のひとつ、IKUNO・多文化ふらっとのステークホルダーを交えて、地域との連携や生野の未来について語り合うことを目的に実施しました。
初日は、個人や組織が持つさまざまな関係性やネットワークを視覚的に表現するエコマップ(エコロジカルマップ、関係者マップ)を使って、連携を考えるワークショップと、公開パネルディスカッション「みんなとの『つながり』を地域の変化・変革へ」を実施し、二日目は鶴橋駅を出発点にフィールドワークを行いました。
公開パネルディスカッションと二日目のフィールドワークには、同じ休眠預金事業のキャリア支援事業の助成先団体が合流しました。
助成先団体は、過去、現在、未来の3つのタイムフレームで、事前にそれぞれのエコマップを作成し、受益者、団体、ステークホルダーとの関係性や理想の連携の形を視覚化し、変化のポイントを共有し合いました。受益者を支援するためには、関係者やステークホルダーとの連携は欠かせず、繋がるまでのきっかけづくりや働きかけの方法など、団体間で活発な意見交換がなされました。
ともに休眠預金事業を活用し事業を実施している (公社)シャンティ国際ボランティア会の村松清玄氏と、認定NPO法人のまなびと理事長中山迅一氏から、事業の実施経験をもとに「つながり」について発表を行いました。
村松氏のシャンティ国際ボランティア会は、東京都豊島区で地元の社会福祉協議会との連携をもとに数年前から外国人支援を実施しています。本年度、これまでの活動拠点である豊島区に加え、新たに練馬区での支援活動の中で始まったつながりと気づきについての報告がありました。まなびとの中山氏からは、神戸市における学童保育のなかで、外国ルーツの子どもたちが増えつつある現状と事業を実施する過程での新たな認識や、今後、学童保育として外国ルーツ青少年の課題に本格的に取り組む可能性について意見を述べました。
座談会では、JCIE執行理事の毛受敏浩がモデレーターを務め、大阪市生野区長の筋原章博氏、生野区NPO連絡会副代表の隅田耕史氏に加え、ロート製薬(株)広報・CSV推進部 CSVグループマネージャーの徳永達志氏、さらに共催団体であるIKUNO・多文化ふらっと代表理事森本宮仁子氏が登壇しました。
登壇者4名はそれぞれの地域や他者との「つながり」の経験をもとに自己紹介した後、毛受から個別にその経験の意義やこれまでの経緯、また活動の広がりなどに関する問いかけに対して、各自の立場や活動において地域社会や市民との「つながり」の重要性を浮き彫りにしました。
さらに個々の登壇者が考える「生野の20年後のすがた」を質問したところ、筋原区長からは生野区として地域の歴史を最大限に活用し、外国人の包括的な定住、活躍を目指す未来像が提示されました。他の登壇者も外国人が社会の一員として受け入れられ、活躍できる仕組みづくりや、NPOや市民活動の一層の進展と企業が社会の一員として活躍する将来像などが話されました。
生野区は在日コリアンが極めて多く、約13万人の人口のうち外国人が3万人近く(全体の2割強)を占めている地域です。今回の公開パネルディスカッションでは行政、企業、NPOの代表者が地域社会の未来に向けてつながりをテーマに議論が行われ、NHK、J-COM、新聞社などの取材が行われるなど大きな関心を呼ぶイベントとなりました。
2日目はIKUNO・多文化ふらっとのスタッフの案内により、鶴橋商店街からはじまり、生野区のコリアンタウン周辺を散策しました。参加者は生野区が歴史的にも文化的にも韓国・朝鮮との縁が深い街であることを、フィールドワークを通して学び体験することができました。
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