ページを探す

ページを探す

JCIEとは

事業内容

お知らせ

会員・寄付

公開ウェビナー「高齢社会に求められる災害対策」を開催しました

日本国際交流センター(JCIE)は、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)との共催で、 公開ウェビナー「Disaster Preparedness and Response for Aging Populations/高齢社会に求められる災害対策」を2024621日開催しました。

本ウェビナーは2月に発行した英文レポート、AHWIN Papers No.4“Disaster Preparedness for Aging Populations – Lessons from Japan”(著者:奥田博子 国立保健医療科学院健康危機管理研究部上席主任研究官|冨尾淳 国立保健医療科学院健康危機管理研究部部長)を題材としています。本レポートは、高齢者の災害対策の強化に向けて、日本が過去の大規模災害の検証を通じて行ってきた法制度の変遷と、近年の対策と課題について概説しており、その上で、今後、日本と同様に高齢化に伴う健康とウェルビーイングの確保という課題に直面するアジア太平洋地域、さらには世界各国と教訓を共有することを目的に、執筆されました。

レポート発行を受け、621日のウェビナーでは著者の冨尾淳氏をはじめ、日本・タイ・米国と各国で災害対策に取り組む専門家がそれぞれの視点からこれからの課題と展望について議論を展開しました。

ウェビナーの概要は以下の通りです。
英文講師略歴はこちらのAHWINウェブサイト(英文)からご覧ください。

公開ウェビナーYoutube動画

要点

地域・国別の課題と展望

日本

  • 災害時には、直接的な被害のみならず避難生活による健康状態の悪化等が要因となる「災害関連死」による高齢者の死亡率が高い。
  • 日本では、2011年の東日本大震災以来、災害時に支援が必要とする者の名簿(避難行動要支援者名簿)の作成が、全国の市町村に義務付けられた。また、災害時の避難支援をより実効性のあるものとするため、2021年に、市町村に対して、名簿に掲載された避難行動要支援者一人ひとりを対象として避難支援等を実施するための計画(個別避難計画)の作成が努力義務化された。しかしながら、現時点で計画の作成が完了している市町村は9%のみとなっている。
  • 令和6年能登半島地震においては、住宅倒壊による死亡者の7割が65歳以上だった。調査によると、石川県内の自治体のうち、個別避難計画の作成が完了していたのはわずか7%であり、その多くに詳細が記載されていなかった。
  • 一部の地方自治体は、プライバシー上の懸念から外部機関との情報共有をためらっているため、支援を提供する側にとって課題となっている。避難計画の作成には、地域住民や高齢者支援を行う団体の協力が不可欠である。また、災害発生時に迅速な支援が提供できるよう、関係者との情報共有が重要である。

タイ

  • タイでは、集中豪雨や、土砂崩れ、焼畑農業による空気汚染及び靄等の災害がより一般的である。新型コロナウイルス感染症のようなバイオハザードも、災害の一種として捉えられている。
  • 地方自治体、高齢者関連協会、地域活動団体との連携に加え、高齢者が自ら気候変動への適応や災害への備えを行うための支援とエンパワーメントも重要である。

米国

  • 世界保健機関 (WHO) は、エイジフレンドリーコミュニティをつくる8つの重点領域(交通機関/住居/安全と緊急時対応/屋外スペースと建物/コミュニケーションと情報/雇用と市民参加/尊重、社会的包摂と社会参加/地域支援と健康サービス) を特定しているが、そのいずれも気候レジリエンスや気候変動対策活動に言及していない。既存の領域と相互に作用する気候変動レジリエンスに特化した領域を設けることが重要である。
  • アメリカ・オハイオ州の低所得者向け住宅施設で行われた調査によると、サービスコーディネーターは、避難計画の欠如や、自分たちと居住者による緊急事態への備えと訓練が不足していることに懸念を表明した。よって、災害への備えに関する教育の提供と行動計画の作成の重要性が強調された。
  • 解決策を設計する際には、高齢者自身に話し合いに参加してもらい、彼らの経験を理解し、様々な場所や状況に合わせて調整できるツールキットを作成することが重要である。

登壇者

  • 基調講演
    冨尾淳 国立保健医療科学院健康危機管理研究部 部長

  • パネルディスカッション
    菊池友枝 NPO法人ピースウィンズ・ジャパン 看護師
    サワン・ケウカンタ 高齢者開発財団(FOPDEV) 創設者
    ホリー・ダベルコ・ショーニー オハイオ州立大学社会福祉学部エイジフレンドリーイノベーションセンター 研究部長

  • モデレーター
    阿部桃子 日本国際交流センター(JCIE) プログラム・オフィサー

  • 閉会挨拶
    加藤 拓馬   東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA) ディレクター

  • 司会
    キム・グールド・芦沢 米国法人日本国際交流センター(JCIE/USA)シニア・アドバイザー

  • グローバル課題
  • 対話・セミナー
  • グローバルヘルス
  • アジアの高齢化と地域内協力
  • アジア
  • 米国
  • アセアン
  

アジアの高齢化と地域内協力に関連する活動報告

活動報告の一覧を見る

グローバル課題に関連する活動報告

グローバルヘルスの視点から、第3期「健康・医療戦略」への提言を城内大臣に手交

グローバルヘルスの視点から、第3期「健康・医療戦略」への提言...

地域社会における外国人材の受入と定着を議論 2024年度第二回円卓会議

地域社会における外国人材の受入と定着を議論 2024年度第二...

TICAD閣僚会合の機会にアフリカのUHC実現に向けた保健資金を議論

TICAD閣僚会合の機会にアフリカのUHC実現に向けた保健資...

日米青年政治指導者交流プログラム 第30回日本代表団訪米プログラム

日米青年政治指導者交流プログラム 第30回日本代表団訪米プロ...

日米青年政治指導者交流プログラム :50周年記念米国代表団訪日プログラム

日米青年政治指導者交流プログラム :50周年記念米国代表団訪...

日米青年政治指導者オンライン交流プログラム:日本代表団ブリーフィング

日米青年政治指導者オンライン交流プログラム:日本代表団ブリー...

関連する活動報告はありません。

Support Us

支援する

民間の立場から
世界の平和と安定を目指す
活動に参加しませんか

  • 法人会員になる

    民間企業‧団体の皆様からのご支援をお願いしております。法人会員になると、国際的なネットワーク拡大の機会を得られます。

  • 個人会員になる

  • 1回のみの寄付

Copyright © Japan Center for International Exchange (JCIE)