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外国にルーツがある支援者と考える、アプローチと人材育成:アウトリーチ事業 第4回連携会議

日本国際交流センター(JCIE)は、2025年124日(金)に、「アウトリーチ手法による外国ルーツ住民の自立支援事業―困窮からの抜け出しを支える体制づくり」(以下、アウトリーチ事業)の一環として、4回目となる連携会議をオンラインにて開催し、関係者25名が参加しました。連携会議は、関係団体のネットワーク強化を主な目的とし各回テーマを設定して定期的に開催しています。

今回の会議では、外国ルーツの支援者による、コミュニティへのアプローチ(アウトリーチ)と人材育成について、関係団体の皆さんの経験をそれぞれに持ち寄り、議論を交わしました。

前半は、外国ルーツの支援者である、明範祐利(あきのり ゆうり)氏と橋本秀吉(はしもと ひできち)氏へのインタビューを通して、外国ルーツの当事者としての支援のとらえ方、思い、実践の中で感じる課題感、展望を共有いただきました。

明範氏は、2007年に来日し、現在はIKUNO・多文化ふらっと(大阪市生野区)の中国語相談員および学校と地域を繋ぐ多文化ソーシャルワーカーとして活動しています。明範氏からは、支援を行うやりがいに触れるとともに、相談業務を担うには、より専門的な知識が必要であると同時に、同僚から学ぶことも多く、横のつながりの重要性が語られました。橋本氏は、群馬県大泉町において、コロナ禍で職を失った外国人労働者の再就労支援や生活困窮者の保護などの活動を行なっています。橋本氏は、日系ブラジル人として日本文化に魅了され来日したものの、日本語ができないことで、職場をはじめ社会で不利な立場に立たされるなど苦い経験があったことを明かしました。さらに、外国ルーツの人の多様な価値観を日本人の価値観や日本文化と融合させ、新たな価値観を創造することで双方にとって可能性が広がることも強調されました。

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続いて、シャンティ国際ボランティア会の鈴木晶子(すずき あきこ)氏より、団体での取り組みを事例に、外国ルーツ支援者を育成するうえで、目まぐるしく更新される制度変容に、日本人でも情報収集や理解が追いつかないなかで、どのように外国ルーツの支援者を育成するのかといった、現場の課題感が共有されました。また、子どもの躾(しつけ)一つを例にとっても、国によって考え方も異なるため、どこまで相談者の文化的背景を尊重しながら寄り添った支援ができるか、といったことも悩みどころとして挙げられました。

当日資料_SVA

前半の問題提起を受けて、後半は4つのグループに分かれ、以下のトピックについて討議しました。

(1) 支援の担い手の多様化に向けた担い手の発掘、育成の在り方
(2) 地域・エスニックコミュニティへのアプローチ、コミュニケーション方法 

支援の担い手の人材の発掘や育成の在り方としては、外国人支援や相談対応は、在留資格や福祉・労働制度など多様な知識と専門性が求められるため、知識を蓄積しながら専門家につなぐなどの対応力を育むことが重要であることが述べられました。また、地域・エスニックコミュニティへのアプローチとコミュニケーション方法について、そのコミュニティのリーダーとつながることが一つの手段である一方で、難民背景のある方であれば、異なる宗教の方や政府関係者とつながることの危険性、階級制度の影響が残っている国もあるため、支援者側と支援される側のパワーバランスなど、アプローチする前の慎重な見極めと細かな配慮なども必要であるといった意見も共有されました。

最後に、前半の問題提起、後半のグループディスカッションを受けて、外部評価アドバイザーの新藤健太氏 から、外国ルーツ支援者の役割についてまとめが行われました。

新藤氏は、外国ルーツの当事者が支援者として活動することには、共感を通じた信頼関係を築きやすいという大きな利点があると指摘しました。一方で、支援者が十分な専門知識や対応スキルを持つことも求められるため、適切な研修や学びの場の提供が不可欠であると強調しました。

また、支援の現場では、支援者自身が精神的な負担を抱えることも少なくありません。そのため、支援者のメンタルケアや、孤立を防ぐチーム体制の整備が必要であると述べました。さらに、相談者と言語や文化的背景を共有することは、相手の理解を深める強みとなる一方、同じルーツを持つがゆえに抱えるジレンマや、支援と当事者性のバランスについても意識する必要があると指摘しました。

こうした点を踏まえ、新藤氏は、外国ルーツ支援者が持つ強みを最大限に活かしながら、持続可能な支援体制を構築するための仕組み作りが今後の重要な課題となるとまとめました。

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