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民主主義の未来:オンライン懇談会「世界における民主主義・人権の危機と日本の支援」

日本国際交流センター(JCIE)は、国際秩序と民主的価値が晒される脅威の性質を理解し、日本の役割を検討する「民主主義の未来」研究プロジェクトを2018年9月以来実施し、これまで議員訪米プログラムや国内外のCSOとの対話などを進めてきています。この度、当研究プロジェクトの一環として、オンライン懇談会「世界における民主主義・人権の危機と日本の支援」を2021年8月10日に開催しました。

新型コロナウイルスのパンデミック以前から民主主義の後退や危機が世界的に叫ばれてきた中、コロナ禍によりその様相は一層強まり、特にインド太平洋地域における民主主義や人権状況は急速に悪化しています。これを踏まえ、日本の官民による支援の現状と課題を検討し、支援のあるべき姿を再考する必要があるとの考えに立って実施された本懇談会には、日本国内で人権の問題、法の支配、あるいはグッドガバナンス等の分野の第一線で活躍する日本の市民社会リーダーやプロジェクト研究会メンバーら、合わせて16名が参加しました。

当日は、日本が今まで取り組んできた支援の行い方や連携の仕方について整理し、政府やJICAの支援活動がCSOの立場からどのように考えられているのか、そして、より効果的な支援にするためにはどのような側面を強化していく必要があるかについて、自由で忌憚のない意見交換を行いました。 

懇談会で討議された内容は以下の通りです。

会議冒頭は、民主主義や人権そのものの価値、普遍性、共通理解を問う議論から始まり、民主主義は政治的側面ではなく、人権保障、それにつながる人間の安全保障という側面から考えられなければならない点が共有された。この点を踏まえ、続く日本政府による支援の課題についての議論では、日本は、1990年代、2000年代当初、市場経済化をすることでトリクルダウン効果のように民主主義がその国におりてくる、という発想を背景に民主主義よりも市場経済化を支援してきた経緯や、外交において必ずしも民主主義や人権が優先されていないとする認識が参加者から多くあがった。さらに、現在起きていることは、アジアの国々でドナー国一番手だった日本にかわり、今や中国が支援の中心にあること、すなわち、民主主義が支援先国の市民にまでなかなか浸透しにくい現状に対する懸念が示された。一方このような状況でも、日本政府が民主主義や普遍的価値を粘り強く訴え続けることには意味があるものとし、外交の一部としてだけではなく、普遍的な価値に基づいて迅速かつ機動性をもった支援を行うこと、そしてそれができているのかという評価を継続的にすることが国として重要だと期待が述べられた。

次に、日本のCSOが抱える課題では、日本で人権や民主主義の分野で活動するアクターやネットワークを支援する財政スキーム、ファンドがなく、多くがボランティアとして取り組んでいる「資金面」と、日本国内で民主主義を掲げて活動する団体が非常に少ない上、ネットワークも脆弱であることや、現地アクターとの連携の課題など「戦略面」の二つが示された。

他方、多くの参加者から、海外への支援以前に、日本国内の民主主義や人権に関する理解と関心の低下を危惧する意見が出た。これを危惧する背景として挙げられた意見は多岐にわたり、日本社会の理解がなくては、官民を問わず海外への支援に対する正統性、推進力、資金を得づらいとの現状や、従事するアクターが育ちにくい点、日本国内の状況が逼迫しており、もはや支援先国の社会と日本社会を切り分けて考える状況ではないと指摘がされた。(*)

意見交換終盤では、日本国内の民主主義・人権・主権者意識の向上と、海外、とりわけインド太平洋地域諸国への支援は、両輪として同時進行で取り組んでいく必要があるとの認識が共有された。また、今後の具体的な検討事項としては、ジャパン・プラットフォームの民主主義・人権版のような中間支援機関の創設や、日本の民間財団による助成プログラムの洗い出しなど、日本政府の支援が支援先国の市民社会に直接届きやすくなり、かつ、日本の市民社会アクターのネットワーク面・資金面の課題を解決し強化するような枠組みを模索することが提案された。締めくくりに、今後も本会のような意見交換の場を継続的に設けることについての賛同を得て、閉会した。

詳述版の報告書はこちらからダウンロードできます。 

(*)民主主義の未来研究会事業では、日本の民主主義の強みと弱みの両方を検証し、新しい状況でも柔軟に適応する民主主義の在り方について議論を深めることを目的とする「日本の民主主義の再評価」(事業開始のニュースリリース)プログラムも行う。

(補足)日本のODAにおける民主主義関連の取り組みついて

初期の日本のODAは、主として戦後処理としての賠償支払いと並行して行われ、その後の経済復興と国際的地位の向上に伴い、徐々に量的拡大と質的転換を見せ、1989年に米国を抜いて世界最大の援助国になる。このころから日本はODAを国際協力の一環として論じ始め、冷戦後、民主化支援に対する国際的な関心の高まりを受け、西側先進民主主義諸国とともに民主化への支援を表明した。1992年に閣議決定されたODA大綱に、ODA供与実施の原則の一つとして被援助国の「よい統治」や「民主主義」に十分注意を払うことが宣言され、現在の開発協力大綱に至るまで日本の援助理念における民主主義を重視する姿勢は変わっていない。 

一方、日本の民主化支援活動の援助は年々増加しているものの、欧米の自由主義国と比較すると、日本のODA全体に占める民主主義関連の取り組みはまだ限定的であると言える。さらに、日本のアジアへの侵略の歴史から内政不干渉の原則の下、要請主義の援助手法を用いる日本の取り組みは行政管理や司法支援など政治性の低い分野に偏っている傾向もみられる。(参考元、民主主義の未来研究会出版 Mapping Survey)

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