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日本国際交流センター(JCIE)は、2026年3月12日に、ジャパン・プラットフォーム(JPF)との共催により、「アウトリーチを軸とした外国ルーツ住民支援に関する勉強会」を開催しました。当日は、NPO/NGO、関係省庁、自治体や企業の関係者など約40名が参加しました。
本勉強会は、休眠預金事業「アウトリーチ手法による外国ルーツ住民の自立支援事業」(以下、アウトリーチ事業)の成果報告の一環として実施しました。前半では、各アウトリーチ手法による活動実績や成果、および本事業を通じて得られた気づきや学びについて、JCIE・JPFと、さらに各助成先団体から共有されました。後半では、「アウトリーチ支援における多様な連携を考える」というテーマにもとづき、参加者間でのディスカッションが行われました。
勉強会の要旨は以下の通りです。
はじめに、JCIE・JPFからは、外国ルーツ住民支援の課題である、支援が必要な人に届いていないという状況に対し、本事業からの学びとして、地域活動や日本語教室、SNS、多言語対応、他団体との連携など多様なアプローチを組み合わせることで、支援へのアクセスが促進されることが明らかになったことを共有しました。支援の質の向上が支援者からの信頼を生み、新たな利用者につながるとともに、相談以外の間接的な活動が重要な入口となることも確認されました。一方で、支援側には人材や資金の制約があり、個別団体での対応には限界があるため、行政や地域団体、通訳者などが連携し包摂的に支援をするためのネットワークの構築が不可欠であることを明らかにしました。
名古屋難民支援室からは、当事者への直接的な法的支援にとどまらず、地域住民との交流機会の創出などを通じた「居場所づくり」「社会での出番/役割の創出」が、支援効果を高める相乗的な役割を果たしたことが報告されました。
日本国際社会事業団は、支援実施後も継続的に当事者と関わり続けることの重要性について言及するとともに、既存の支援制度や枠組みからこぼれ落ちてしまう当事者とつながることの難しさを、今後の課題として提示されました。
移住者と連帯する全国ネットワークは、オンライン相談会や外国ルーツ支援者を対象とした伴走支援のスキルアッププログラムの実施が、支援が不足する地域へのアウトリーチを可能にするとともに、外国にルーツを持つ新たな支援者との連携拡大に大きく寄与したことを明らかにしました。
シャンティ国際ボランティア会からは、東京都豊島区における活動実績を基盤として練馬区へ活動を展開できた成果を紹介する一方、活動の継続性を見据えた出口戦略の必要性や、外国ルーツの支援者の育成が今後の課題であることを指摘しました。
IKUNO・多文化ふらっとからは、活動を通じて明らかになった地域課題を行政への政策提言へとつなげ、大阪市生野区の「多文化共生共創プロジェクト」の実現に結びつけた事例を紹介しました。またこの取組みが、民間企業が抱える人材不足のニーズと若者の潜在的可能性を結びつけるモデルとなり得る点が強調されました。
ここでは、各助成先団体と事業実施のために連携をした関係者、さらに企業関係者との活発な議論が行われました。活動を持続的に発展させ、全国へ展開していくためには、支援のプラットフォーム化を進めるとともに、企業・行政・大学など多様なセクターを巻き込んだ連携体制の構築が不可欠であることが確認されました。
ディスカッション終盤には、本アウトリーチ事業の外部評価アドバイザーである新藤健太氏(日本社会事業大学准教授)から、アウトリーチの取り組みは当事者への支援にとどまらず、地域や支援者側に新たな気づきをもたらし、結果として地域における新たな仕組みづくりの契機となる点に意義があることが示されました。
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