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民主主義の未来:オンライン国際会議「民主主義の未来:シビルソサエティと次世代リーダーの役割」

日本国際交流センター(JCIE)は、国際秩序と民主的価値が晒される脅威の性質を理解し、日本の役割を検討する「民主主義の未来」研究プロジェクトを2018年9月以来実施しています。当プロジェクトは「アジアの中の日本」を基軸に、地域における民主的ガバナンス実現のための協力とパートナーシップ構築を目的に、国内外の様々なステークホルダーと連携し日本の役割を見出してきました。2年を超える新型コロナウイルス禍の中、民主主義の後退が一層深まり、さらにロシアによるウクライナ侵攻のような、強権主義が世界を混乱させ危機感が強まっている昨今の情勢を受け、その総括となる国際会議を、5月31日(火)と6月1日(水)の二日にわたりオンラインで実施しました。

本国際会議は「民主主義の未来:シビルソサエティと次世代リーダーの役割」と題し、初日では若者を次世代の担い手と位置づけ、若手リーダー自身との議論を通じて、若者にとって民主主義とは何を意味するのか議論しました。研究プロジェクトの集大成ともなる2日目は、初日の議論を踏まえながら、アジア地域の民主的ガバナンスや次世代のパートナーシップ強化の具体的方策について議論を行いました。各セッションのパネリストには、日本のみならず、アジアや中南米から専門家を招き、さらに次世代リーダーとしてインドネシア、ネパール、チリの若手の活動家の参加も得て、世代をつなぐ議論を実施することができました。

討議された内容は以下の通りです。

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5月31日(1日目)

セッション1 インド・太平洋諸国における政治参加の概況:次世代の展望

国際会議に先立ち、若い世代、いわゆるZ世代、ミレニアル世代における自国の政治への関心や自身の政治意識、さらに新型コロナウイルス感染症のパンデミックを経験したことによる政治に対する意識の変化を捉えるため、アジア8カ国(日本、韓国、マレーシア、インド、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ)の18~39歳を対象にした政治認識と関与についてオンライン調査を5月6日~5月20日にかけて実施した。(調査協力:Qualtrics社)

調査書はこちら

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5つの調査結果サマリー
  1. 8か国すべての国において若者の約60%以上は自国の政治に関心を持ち、50%以上は他国の政治にも関心を持つ。また、コロナ禍を経験したことにより、半数以上が政治への関心を高めた。
  2. 日本以外の7か国の若者は政治をより身近に感じている。
    • 7か国の若者の約80%以上は自分の生活が政治と関連が高いと実感 (日本70%弱)
    • 7か国の政治有効性感覚は非常に高い。 自分の票が政治に影響していると90%近くが実感。(日本60%)
    • 7か国の約60%以上は家族や友人などと政治的な事柄を話題に「よくする」「たまにする」と回答(日本49%)
  3. 政治に関する情報を得る情報媒体TOP3「テレビ」「インターネット」「ソーシャルメディア」
  4. 年代別では、より若い世代(特に18-19、20代)の政治への関心値が低く、30代の関心値が高い傾向が見られる
  5. 他国との連帯では、他国において自由や人権が攻撃を受けている場合、当事国以外に「自国の政府」「国連や多国間の連携」、「市民社会」が対応すべきと、8か国中4か国が支持

セッション2 若者世代にとっての民主主義とは何か?

アジアの若者は経済的な機会に恵まれず、重要な意思決定プロセスから排除される傾向があり、COVID-19によってアジアの若者の脆弱性は更に拡大しつつある。現状では政治における若者の活躍の場が乏しく、民主主義が十分に享受されていない状況下、モデレーターから各パネリストに対して、各国・地域における若者の政治参加状況と、民主主義が機能するために若者の参加を拡大させるには何をすべきかについて質問が投げかけられた。

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これを受け各パネリストからは、若者と政治との間に隔たりは感じられるが、全体的に見れば、より良い教育機会やインターネットにアクセスでき、前半のセッションでも報告があった通り、政治に対して関心を持っていることが指摘された。実際、若者が持つ政治へのわずかな関与の場が脅かされると、政治に参加する傾向が強くなることもあり、ネパールでは、若者が抗議行動、集会、デモ、ソーシャルメディアキャンペーンを主導するなど、自分たちの声が十分に評価されていない中でも、政治空間への若者の関与が活発である事例が紹介された 。他方、政治に関心を持たない若者に対しては、市民参加に時間を割けば自身の生活が向上することを印象づけることが重要であり、教育、関与、そしてエンパワメントがカギとなることが述べられた。また、企業活動の側面からも、若者の民主主義や民主主義的価値観を促進する責任が企業にもあり、それは政治的関与に寄与し、長期的には企業の利益になると指摘された。

6月1日(2日目)

セッション3 インド太平洋における民主的パートナーシップ強化に向けたサニーランズ・イニシアチブの提案

当該地域において、COVID-19を通じて緊急的措置により自由が制限され、市民社会スペースが縮小するなど、民主主義の後退が目に見えている一方で、実際、コロナ流行やロシアのウクライナ侵攻以前から、小規模な民主化ネットワークが次々と生まれていることが指摘された。これは地域外の民主主義国からの影響ではなく、内側から民主化プロセスが有機的に始まっていることを示唆しており、その一つの大きな動きとしてサニーランズイニシアティブとその原則(*)は良いスタートであり、一部はすでに実施され、実行可能な項目につながっていることが共有された。更に、このような民主化の努力が、中国にどのように受け止められるかは重要であり、反中国ではなく、民主的価値の強化や民主的パートーナーシップ構築のためのものであることを念頭に進め、強調されるべきであることが共通認識として示された。

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(*)サニーランズ原則とは
世界人口の半数以上が権威主義体制のもとで生活しており、民主主義の退潮傾向が懸念されています。これを受け、2020 年 1 月、 戦略国際問題研究所(CSIS)が、全米民主主義基金(NED)およびアネンバーグ財団と提携し、インド太平洋地域の有識者らをカリフォルニア州サニーランドのアネンバーグ・エステートへ招集し、民主主義先進諸国が民主的ガバナンスを支えるための戦略について議論を行った。同年7月、この討議内容を踏まえた提言書がCSISから発表され、民主主義の多様性、近隣民主主義国に対する支援の重要性、民主主義国を支援する際の総合的なアプローチを10の原則として取りまとめられた。日本からは、当プロジェクトの高須幸雄主査が議論に参加し、この提言書に署名した。

▶提言書はこちら 原文和文翻訳

セッション4 アジアにおける市民社会ネットワークの現状と展望

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これまでの議論を受け、最終セッションとなる第4セッションでは、アジアの市民社会のネットワークの現状と民主的な危機への対応における連帯など今後の展望について議論を行った。アジアにおける市民社会は、すでに地域の民主主義に対する脅威に対処するために協働してきており、ネットワークを構築するための信頼の基礎を築いていることが指摘された。市民社会のネットワーク化によって教訓や経験を共有することができる一方で、ネットワーク構築の課題として、リソースの獲得競争やイデオロギーの相違などが挙げられた。それらを克服するためにはツールやリソースの強化に加えて、リーダーシップの重要性が挙げられ、特に若い世代は創造的で、革新的で、リスクを取ることを厭わず、CSOのリーダーとして成長しており、若者のエンパワメントを行う組織が必要であることが共有された。地域全体のハブをつなぐことも有益であるが、それ以上に市民社会は多くの人々や組織が参加することで発展し、変化を促す鍵になることから、各国・地域の市民社会に多様なアクターが形成され、より積極的な参加を促し、点から面へ強化されるべきだと議論を締めくくった。

民主主義の未来プロジェクトの概要

冷戦終結により共産主義は自壊し、勝利した自由と民主主義が世界に拡散していくと信じられていました。ベルリンの壁崩壊から30年が経った今、世界各地では権威主義的統治手法が拡大し、先進民主国でさえポピュリズムの台頭でぐらつき始めています。今日の世界において、民主主義は顕著に後退していると言っても過言ではありません。
こうした問題意識を踏まえ、JCIEは、国際秩序と普遍的価値が現在どのような脅威にさらされているのかを理解し、日本としてどのような政策を展開できるのか検討する研究プロジェクト「民主主義の未来 -私たちの役割、日本の役割」を2018年に開始しました。
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