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日本国際交流センター(JCIE)は、2023年3月1日、公開シンポジウム「外国にルーツを持つ青少年の自立を支える社会の実現に向けて」(全2回)の第2回を開催しました(第1回目の報告はこちら)。当日は、登壇者は会場、視聴者はオンラインでの参加となるハイブリッド形式で実施しました。
全2回にわたり行われた本公開シンポジウムは、JCIEが2020年度から実施している「外国ルーツ青少年未来創造事業」(以下、SYDRIS)の活動・成果報告の一環として行われたもので、SYDRISの助成対象団体(7事業)の代表者に登壇いただき、外国ルーツ青少年とその家族に対する支援現場から見えてきた課題と成果、また、今後必要な支援の在り方について議論しました。今回は、「外国ルーツ青少年の社会包摂の仕組みづくり」をテーマにシンポジウムを実施し、政府、企業、NGO/NPO、メディア、大学・研究機関、一般市民など、延べ約120名の方々に参加いただきました。
今回は3部構成となっており、第1部の基調報告においては、JCIEが昨年実施した、日本全国の自治体の外国ルーツ青少年に対する各種施策や取り組みについてのアンケート調査の結果が報告されました(調査期間:2021年7月12日~9月27日、対象団体:全国の自治体1,441団体、有効回答数:875件)。そこでは、「外国ルーツ青少年の動態について回答自治体の約半数が『わからない』としている一方で、地域での外国人住民の比率による違いがみられる」、「外国ルーツ青少年をめぐる課題のうち、日本語によるコミュニケーション、学習に関する課題を取り上げた自治体の割合は高い」、「地域の外国ルーツ青少年支援NPOなどに対する把握と支援が進んでいない一方で、外国人住民の比率による違いがみられる」、「外国ルーツ青少年を人材として捉える認識は必ずしも高くないが、多文化共生及び外国人材の活躍推進関連計画の策定状況による違いがみられる」の4つのポイントが示されました。
第2部では、SYDRISとの連携事業として行われてきた住友商事株式会社(以下、住友商事)の社員参加型の社会貢献活動プログラム「100SEED」について、住友商事サステナビリティ推進部CSR統括チーム長の江草未由紀氏より報告されました。報告では、企業が外国ルーツ青少年を支える活動に取り組む方法や意義について、参加した社員の反応やインタビュー動画などを交えて紹介がなされました。
第3部のパネルディスカッションにおいては、株式会社one visa代表取締役の岡本アルベルト氏のモデレートのもと、SYDRIS事業の採択団体の中、外国ルーツ青少年とその家族が包摂されて暮らせるコミュニティ・社会基盤づくりを中心に行ってきた3つの団体の代表に登壇いただき、議論を行いました。はじめに、SYDRIS事業において各団体が連携・協力して外国ルーツ青少年に関わる取り組みを行ってきた公益活動団体、企業、行政及び地域関係者へのインタビュー動画により、今まで行われてきた活動の様子と活動に関わることで組織内外で見られた変化や成果等が示されました。その後、各団体が拠点を置く地域的な特徴などを踏まえた地域環境や体制・制度的な観点から外国ルーツ青少年とその家族が置かれている現状や課題について報告がなされ、その解決、改善のために各団体が行ってきた取り組みについて、説明がなされました。最後には、外国ルーツ青少年とその家族を包摂する多文化共生社会の在り方、そして、それを実現していく過程や方法などについて議論が交わされました。
「自治体における外国人住民関連施策に関するアンケート調査」(概要版)*本編は後日公開予定
第1部 報告 「全国自治体調査から見える外国ルーツ青少年とその家族を支える地域の今」(20分)資料
第2部 報告 「企業の参画が広げる外国ルーツ青少年が安心して学べる社会作り~100SEEDとSYDRISが試みたもの~」(15分)
第3部 パネルディスカッション「外国ルーツ青少年とその家族が包摂されて暮らすコミュニティづくりとは:広がりを作り出す活動から見えてくる今とこれから」(75分)
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