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2024年4月16日、日本国際交流センター(JCIE)民主主義の未来プロジェクトは、一橋大学グローバル・ガバナンス研究センターとの共催のもと、「民主的ガバナンス・普遍的価値の推進に向けた政策対話」シリーズの第4回として、「ミルクティー同盟*日本関係者との対話:民主主義支援・人権擁護と日本の役割」をテーマに、超党派国会議員、ミルクティー同盟日本に所属する香港人とミャンマー人の民主主義・人権擁護活動家(日本在住)、また、その活動を支援する日本人メンバーら約40人が集う懇談会を実施しました。
議論の要旨は以下の通りです。
(*)ミルクティー同盟日本 (Milk Tea Alliance Japan):
ミルクティー同盟は、アジア地域の民主主義と人権活動家たちが連携し、共通の価値観や課題に取り組むために形成された組織で、名称は各地域でよく飲まれる「ミルクティー」に由来。異なる文化や背景を持つ人々が一緒に混ざり合いながら、民主主義の促進、人権の擁護など、普遍的価値観の理念を推進している。これを基に、日本在住の活動家の連帯として結成されたのが「ミルクティー同盟日本」で、今回モデレーターを務めた一橋大学グローバル・ガバナンス研究センター(GGR)の市原麻衣子教授は共同創立者の1人。日本、香港、ミャンマー、タイで、自由と人権を求めて活動する市民社会の活動家、元議員、アーティスト、映像製作者、ジャーナリストなどが参加しており、日本社会に合う連帯や支援の仕方について建設的な議論をし、対立構造にならないような働きかけをするための戦略会議を重ねている。
冒頭、ミルクティー同盟日本の創設メンバーである市原麻衣子一橋大学大学院法学研究科教授によるモデレーションのもと、ミルクティー同盟日本のミャンマー人、香港人、日本人のメンバーが、両地域における人権侵害の状況や自身の活動、課題や目標について発表があった。これまでの日本の政府や市民社会からの支援に対する感謝が表されると同時に、世界の他地域の人権状況が悪化する中、アジアの人権問題に関する報道や関心の低下が懸念されるとの指摘のほか、支援が必ずしも必要とする人々に届きづらい現状と、より踏み込んだ支援策が必要であることが求められた。今後、民主的原則や普遍的価値を後押しする支援が、より効果的かつ的確に必要とする人々に届くようにするためには、どのような対応が求められるかについて、非西欧国である日本の政府と市民社会に対する期待と提案が共有された。
続く超党派の参加国会議員との質疑応答と意見交換では、香港やミャンマーにおける人権侵害の状況は、当事者だけの問題ではなく、国際的な脅威であるとの共通認識であることが強調された。その上で、インド太平洋地域における民主主義や人権状況の改善に取り組む活動家を支えるための国際的な連携のあり方や、持続可能な支援に資する日本の外交政策と役割とはいかなるものなのか、また、政府の公式な外交トラックのほかに政治家や市民社会がすべきこと・できることについて活発な意見がされた。
冷戦終結により共産主義は自壊し、勝利した自由と民主主義が世界に拡散していくと信じられていました。ベルリンの壁崩壊から30年が経った今、世界各地では権威主義的統治手法が拡大し、先進民主国でさえポピュリズムの台頭でぐらつき始めています。今日の世界において、民主主義は顕著に後退していると言っても過言ではありません。
こうした問題意識を踏まえ、JCIEは、国際秩序と普遍的価値が現在どのような脅威にさらされているのかを理解し、日本としてどのような政策を展開できるのか検討する研究プロジェクト「民主主義の未来 -私たちの役割、日本の役割」を2018年に開始しました。
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