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2025年3月10日、日本国際交流センター(JCIE)民主主義の未来プロジェクトは、アセアン人権議員連盟とアジア・リベラル民主評議会の代表を迎え、「インド太平洋地域の普遍的価値を促進するために議員の果たす役割:挑戦と機会―日本への期待」をテーマに超党派議員懇談会を開催しました。当日は14名の超党派国会議員(3名代理含む)が出席し、アセアン諸国における民主主義や人権の状況、米国の対外支援凍結の影響、今、日本を含む政治家に求められる役割などについて活発な意見交換を行いました。
なお、アセアン人権議員連盟とアジア・リベラル民主評議会の訪日メンバーは、3月9日から11日の滞日中、上記議員懇談会のほか、民主主義の未来プロジェクト関係者や、ミャンマーをはじめとするインド太平洋地域の人権擁護に携わる研究者、NGO、国会議員グループ、メディアとの懇談を行いました。
訪日団から、近年アセアン諸国では民主主義の後退が顕著であり、言論統制など市民社会への締め付けが顕著な政権が増し大変憂慮される状況となっており、インド太平洋地域で普遍的価値を擁護するうえで、日本への期待が大きく、国会議員の政治的指導力の重要性が強調されました。
アセアン諸国の課題: アセアン諸国では、強権政治、権威主義的体制が存在感を強め、司法の独立や市民社会の活動が制約を受け、民主派の政治家・弁護士らも逮捕の危険に晒されている切迫した状況が報告されました。デジタルによる偽情報、気候変動も主要課題として言及されました。さらに、民主主義の質の向上に不可欠な要素として、女性の政治参加やジェンダー平等の必要性が強調されました。特に、クオータ制導入を通じた女性議員の議席数増加が、アジアにおける包摂的なガバナンスの実現に寄与している事例が紹介され、日本にとっても政策的な示唆を含む論点として共有されました。
米国の政策変更の影響: 米新政権による対外援助の凍結・削減により、インド太平洋地域の保健衛生や教育、治安が急速に劣化していること、これまで民主主義や人権の擁護に奮闘してきた多くの機関と人材が失われていることの長期的な影響についても懸念が示されました。タイ・ミャンマー国境付近では、米国が撤退した人道支援の事業に中国が参入、軍事政権へのロシアによる接近など、権威主義的体制の更なる拡大に直結しており、地域内の安全保障が深刻な危機に瀕している状況が共有されました。
日本への期待: インド太平洋地域のネットワークの醸成には、相互に尊重しあう長年の信頼関係を要することから、ひとたび損なわれてしまうと、将来の長きにわたって普遍的価値観の再復興が困難になる恐れがあるとして、今こそ日本が政府、議員、民間団体の各レベルで連携・協力を強化するよう強い期待が表明されました。特に、ミャンマーの民主化に向けて議員同士の連携強化が提案されました。また、相手国政府からの要請に基づく従来のODAの仕組みに加えて、相手国の市民社会組織の活動を直接支援する新たな資金メカニズムとしてインド太平洋プラットフォームへの期待が表明されました。
JCIEの民主主義の未来プロジェクトは、本会合での議論を踏まえ今後、議員間のネットワーク強化や、民主主義の支援と擁護の具体的な政策提言に向けた対話を推進していきます。
冷戦終結により共産主義は自壊し、勝利した自由と民主主義が世界に拡散していくと信じられていました。ベルリンの壁崩壊から30年が経った今、世界各地では権威主義的統治手法が拡大し、先進民主国でさえポピュリズムの台頭でぐらつき始めています。今日の世界において、民主主義は顕著に後退していると言っても過言ではありません。
こうした問題意識を踏まえ、JCIEは、国際秩序と普遍的価値が現在どのような脅威にさらされているのかを理解し、日本としてどのような政策を展開できるのか検討する研究プロジェクト「民主主義の未来 -私たちの役割、日本の役割」を2018年に開始しました。
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